研究課題/領域番号 |
18K10286
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
若崎 淳子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50331814)
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研究分担者 |
園尾 博司 川崎医科大学, 医学部, 附属病院病院長 (60136249)
谷口 敏代 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10310830)
掛橋 千賀子 姫路大学, 看護学部, 教授 (60185725)
野村 長久 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10341108)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再発乳がん患者 / レジリエンス / 質問紙調査 / 乳がん体験 / 患者会 |
研究実績の概要 |
本研究は、多様な病態と乳がんの生物学的特性により多岐に亘る薬物療法を特徴とする再発乳がんに焦点をあて、外来通院し薬物療法を継続する再発乳がん患者のレジリエンスを促進する看護介入プログラムの開発を目的とする。研究は段階的に実施し、令和2年度は段階Ⅱ「看護介入プログラム試案の作成」を継続した。 研究実施計画に沿って、先ず段階Ⅰの基礎調査(面接調査)を分析・検討し、薬物療法を継続する再発乳がん患者の心理的状況として整理した。次いで研究代表者が先行実施した横断調査から得た知見、日本乳癌学会発行の乳癌診療ガイドラインおよび乳腺専門医の意見、文献を基礎資料に加え、プログラム試案の内容を検討した。そして、看護支援として[治療過程の納得][役割に適う生活調整][医療・治療に関する最新情報の入手]を抽出し、具体的な支援項目案を検討した。並行して乳がん患者会が患者会所属の乳がん体験者を参加者として実施する自記式質問紙調査に協力し、体験やレジリエンスの様相を問うた。回収数は557(回収率37.8%)で、このうち再発患者は103名(18.5%)であった。年齢は40歳代が9.7%、50歳代が28.2%、60歳代が32.0%、70歳以上が30.1%であった。39名(37.9%)が就業していた。現在抱える不安や悩み(複数選択)は、余命とこれからの生き方(64.1%)、治療法や治療薬の選択(44.7%)、経済面(29.1%)、副作用による外見変化(28.2%)や体調不良(27.2%)、孤独感(25.2%)等であった。相談先は47.6%が主治医、情報収集源は29.1%が書籍やインターネットであった。自由記述欄には乳がん診断時から現在に至る心情が記載されていた。本調査から、レジリエンスの一要素である感情調整を支持する情緒的支援や認知的支援に係る乳がん体験の様態が掴め、プログラム内容の充実に向けた知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究組織の研究者各所属機関および研究協力施設における新型コロナウィルス感染症対策ならびにそれに基づく対応を最優先とした。研究段階Ⅱの「看護介入プログラム試案の作成」途上にあり、乳腺専門外来で薬物療法を継続する再発乳がん患者を対象としたパイロットスタディの実施(段階Ⅲ)の開始に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度(4年目)は、令和2年度実施の質問紙調査について統計学的分析および質的分析を進め、看護介入プログラムの充実に向けて試案内容に反映させていく。併せて、看護介入時に視聴覚教材の活用が適切な内容を検討・抽出し、教材を作成する。また、段階Ⅲの「看護介入プログラム試案を用いたパイロットスタディの実施」に向けた準備を進める。研究計画の実施内容に変更はなし。研究組織内はじめ研究協力者との一層のオンライン化を工夫し、新型コロナウィルス感染症拡大予防と研究活動の両立をはかって研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)看護介入プログラム試案およびそれに付帯する視聴覚教材の作成が途上にあるため。臨地での看護介入プログラム試案を用いたパイロットスタディの実施(研究段階Ⅲ)の開始に至らなかったため。 (使用計画)今年度実施した質問紙調査の分析に係る統計解析ソフトの購入に充てる。看護介入プログラム試案に付帯する視聴覚教材作成費として執行する。
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