研究課題/領域番号 |
18K10287
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
池田 光徳 高知県立大学, 看護学部, 教授 (70212785)
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研究分担者 |
小原 弘子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (20584337)
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
坂元 綾 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90584342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 分子標的薬 / マルチキナーゼ阻害薬 / 手足症候群 / 看護介入 |
研究実績の概要 |
分子標的薬は、その分子を利用している正常な細胞をも傷害する。分子標的薬は手足症候群(HFS)を誘発する可能性がある。HFSは患者の日常生活に影響を及ぼし、生活の質を低下させる。HFSを最小限に抑えながら抗がん薬療法を継続することが不可欠である。本研究の目的は、日常臨床で分子標的薬によって引き起こされるHFSの発症症状の特徴を明らかにし、HFSを予防するための予防的措置を開発することである。 本年度は、HFSを起こす抗がん薬として、文献検討によりマルチキナーゼ阻害薬のうちソラフェニブおよびスニチニブを選択した。いくつかの研究実施候補施設をあたり、研究協力機関を決定した。依頼機関との打ち合わせの過程で、予防的介入研究での介入手段は、看護的ケアの延長上にあるものを用いることが望ましいとの意見が聞かれた。 データ収集の具体的項目は、性別、年齢、身長、体重、疾患名、治療歴、利き手、血液データ、栄養状態などを選定した。他覚的皮膚症状の項目は、肉眼所見、リングゲージバンド、Mexameter、レーザー血流計などを選択した。手指の腫脹は3Dハンディスキャナを用いて算出しようと計画した。パイロット研究として検者が3Dハンディスキャナの使用に習熟すべく訓練中である。 現在までの文献検討の結果を、22nd EAFONSにおいて発表した。HFSの研究は2000年頃に増加し始めた。検索の結果EAFONS発表時点で177の出版された看護と医学の記事があった。文献検討によって、分子標的薬は、手掌足底発赤知覚不全症候群としても知られるHFSを引き起こす可能性が高いことが分かった。特定の分子を標的としない標準的な抗がん化学療法薬によってもHFSが起こることも分かった。HFSの発生率はヨーロッパのそれよりもアジア人の方が高かった。HFSは種々の薬物で誘発されるため、多様な病因が関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展している。 根拠として、文献検討およびその学会発表、研究実施施設の開発、大半の検討手段の確立は終了したことが挙げられる。 文献検討で、これまでの研究は病態生理学的機序ではなく単に症状に焦点を当ててきたため、対症的な手段が開発されてきたにすぎないことが分かった。今後の研究では、個々の症状を解明して、HFSの病態に応じた積極的な看護介入を検討することが必要である。 一方、完全に順調と言えない点は、仮説に反して現存の3Dハンディスキャナが手指の腫脹を検出するには感度が低いことが分かったことである。そのため、新たな手指腫脹検出デバイスを探索する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現存のスキャナは手指の腫脹を検出するには感度が低いため、新たな手指腫脹検出デバイスを探索する必要がある。新たな手指腫脹検出デバイスとして何を選択するかについては検索中である。 HFSの病態に応じた積極的な看護介入の手段として、完全に侵襲性のない白色ワセリンを使用したいと考えている。 本年度より、臨床的研究を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究において、現存の3Dスキャナは手指の腫脹を検出するには感度が低いことが判明した。そこで、新たな手指腫脹検出デバイス(足容積測定装置MK-101CMP)を購入する必要がある。本年度の残予算では購入不可能で、次年度予算と合わせて購入したいと計画したため、349,200円を繰り越した。
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