研究課題/領域番号 |
18K10289
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
末安 民生 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (70276872)
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研究分担者 |
西池 絵衣子 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (90559527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リフレクティング / 精神医療福祉 / 精神科看護師 / 対話実践 |
研究実績の概要 |
本研究は、2020年を研究最終年度としていたが、COVID-19の感染拡大に伴って研究対象施設の2か所目の施設調査中に二度にわたって中断した。その期間は長期にわたったため対象施設、研究対象者との間で関係性が途切れないようにon-lineでの近況情報の交換を行い、再中断から再々開し2022年度中に計画の全調査を終了することができた。 本研究は対象者に研究目的と方法を告知し、任意募集に応じた参加動機を有する対象者であるとはいえ、途中、人事異動などによって一部辞退もあり、参加者の意識が低迷しないように介入を継続し、目標としていた人数を超える12名による最後までの協力が得られた。 これによって教育方法の開発に必要と思われる、日々のデータと区切りとして実施したグループインタビューに関して有益なデータが整った。今年度は、分析にあたり海外文献、および識者の評価をも参考にして結果、考察を行いたい。 障害者の地域移行支援が重視されるこの時代にふさわしい医療従事者間の対話を重視した早期介入のための教育への関心は継続している状況である。第二調査対象施設においても臨床状況を反映した場面に沿って対話実践場面の提案を受けて試行にまでは進捗しており、研究計画に沿って支援場面の展開によって患者を取り巻く集団のダイナミクスやスタッフ間の意思の疎通について研究対象者らがそれぞれの臨床経験年数やスタッフとの協働作業を思い起こしながら対話方法を習得しようとする態度の変化、内的会話への意識づけに成果が得られた。そのためこの収集データのなかでの検証方法にも示唆が得られるものと想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の対象施設は医療機関であり、また、研究者の所属が医療系教育機関であるために、国の非常事態宣言下でのCOVID-19の感染拡大の影響を考慮して調査を中断せざるを得なかった。この間の判断は、調査対象施設の管理責任者、研究対象者のなかで選定された連絡調整者を通して行い、管理者の意向だけで決定しないように配慮した。 また、各対象者には個別の郵便物によって結果と動静についての報告を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
調査の再開によって研究対象の2施設間でのデータがそろい、結果の比較と分析によって、計画時の想定に基づいて看護師個人の資質と研究対象施設の属性を勘案して、地域包括ケアの方向性に適合した医療機関と地域ケアの支援方法の一貫性のある支援技術をプログラム化する。その後、データに含まれる検証に寄与すると思われるデータ精錬化の作業を実施して、普及方法にも視野を広げて検討しておきたい。そのため、引き続き看護師の相互関係を通した経験交流の深化、医療チームにおける看護師の状況判断や介入方法、RPの院内看護教育システムへの反映の可能性などについて最新の文献検討、WHOの提供しているデータなども検証し結果を完成する。2施設とはいえ総計30人余りのキャリア看護師のRPの体験は、施設の相違なども勘案しながらスタッフ教育と地域包括システムの充実に寄与するものと考えられる。 今後は、研究テーマである地域包括ケアの展開時に看護師の能力が生かされるような視点と方法をRPの機能を活かして実施していける学習環境の風土つくりなども含めて検討したい。研究結果の分析に当たっては、研究結果について研究者と研究対象者がどのように相互関係を展開しながら相補的に参加して学習することができたのか、教育プログラム実施中の具体的な場面の展開の分析などを通して、現在の現任教育方法の見直しに寄与できる方向性も検討課題としたい。臨床での活用に向けて研究対象者の活発な討論がみられていたことは2施設ともに共通していたため、精神科看護師がRPの学習を通して対話を用いた介入の精度は高められ、ケアの質の向上につながることが推察される。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終データ分析後、細部にわたる確認を調査対象者に行うことが必要になった場合には、結果研究施設へ調査旅費が必要になる。また、WHOの最新精神科医療ガイドラインや研究関連分野の最新臨床状況を把握している研究者に本研究への助言や結果、考察についての助言を求めることが精錬化の過程で必要になれば、研究協力者への謝金やスーパーバイズへの謝礼が必要になる。 本研究による教育方法の妥当性についてフィンランドの実施病院の教育責任者との意見交換を計画していたが、おりしもこのコロナ禍に病院が移転したりしていたため、その後の運営状況が正確に把握できていないため、見通しが得られていない。
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