本研究は、2020年を研究最終年度としていたが、COVID-19の感染拡大の中断に伴い2023年を終了年とした。研究対象者の所属施設でのクラスター発生のため期間を延長したが各病院ともに計8回の訪問調査は実施し、調査期間が延長した研究対象者との間で調査項目への関心が希薄にならないように関係性を保つためにon-lineや個別文書送付などの配慮を行った。計画への影響は最小限度にとどめられたと考えている。 その結果、研究の目的とした対話を重視した看護者の教育方法の開発に寄与すると想定されるリフレクティングの活用による看護者の行動への変化を促すような臨床での活用については課題と成果についての示唆を得ることができた。このことは研究対象者に検証のためにグループインタビューによってフィードバックした。多くの対象者は成果と課題について実感していることがわかった。 特に研究対象者が日頃のケアの中でなにげなくしていた「はなす」ことから生じていた疑問に対して内省の循環プロセスを感じさせる発言が抽出された。 たとえば、「研究参加という目的意識がある中で専門家同士の会話を聞いていたとしても、自由に考え、聞いていられる態度は保つことができる」、「「きく」ことと「はなす」ことを重ねた結果、お互いの感情、考えをより深く考えるようになり、そのことを通して「はなし」の広がりが得られて、参加者との間にこれまでとは違う関係が生まれていた」などであり、医療行為の場面において患者家族と医療者間、看護師間で対話が可能になるための安心感を維持した臨床において自然な対話の継続が可能になるような環境つくりと、日々のケアにおける対話実践が必要であるという認識が共有されていることが明らかになった。
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