研究課題/領域番号 |
18K10292
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 正美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60279833)
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研究分担者 |
務台 理惠子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50737327)
望月 留加 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10412991)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 看薬連携 / がん患者 / がん患者家族 / 薬局 / 調剤薬局 / 看護師薬剤師連携 |
研究実績の概要 |
2019年度は、調剤薬局薬剤師と看護師との連携の具体的方法を検討するために、関東圏内の保険薬局4か所に勤務する薬剤師15名を対象に、フォーカスグループ・インタビューを実施した(4回実施。41~78分で平均57分)。インタビューでは、①がん患者と家族から受ける相談や質問の内容、②相談や質問への対応や対処、また対応に苦慮すること。③相談や質問のほか、その他対応が必要と思うこと。④看護師と連携する上での課題や意見。などを尋ねた。薬局はいずれも総合病院前にある門前薬局であった。インタビュー内容の逐語録をデータとして分析した結果、以下のことが明らかとなった。 看護師との連携に関するアイデアを尋ねたが、特に外来で看護師がどこでどのように、何をしているのかも分からない、という反応がほとんどであった。調剤薬局薬剤師はカルテを閲覧できないため病名やレジメンを探っており、がん患者と家族から、副作用症状の緩和に関することや就労の継続、経済的な問題、生きる望みを持てないなど、薬物療法以外の相談を受けていた。また病院との情報共有を望んでおり、看護師が実践している指導やケアを知り継続して関わりたい、気軽に看護師に相談したい、看護師からアドバイスをもらいたい、と看護師との連携を望んでいた。 以上のことから、本研究目的であるがん患者と家族に対する調剤薬局薬剤師と看護師の連携による支援モデルの開発へ向けて鍵となる、連携が必要な支援の視点を抽出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では2019年度中に、薬局薬剤師を対象としたフォーカスグループ・インタビューの結果を整理し、がん看護専門看護によるエキスパートパネルを予定していた。しかし、ようやく3月に日程調整ができたものの、COVID-19の感染拡大に伴い、都内に外出自粛等要請が出されたため、実施できず延期となっている。 なお、学内の倫理審査委員会での承認が予定よりも遅れたため、研究成果の学会発表が当該年度内に難しくなり、次年度に繰り越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初、がん看護専門看護師を対象として、対面によるエキスパートパネルを予定していたが、COVID-19の感染拡大予防の観点から、リモート型での実施可能性を検討する。さらに、次の段階のがんに関する専門的知識を有する薬剤師を対象としたエキスパートパネルも、対面によるエキスパートパネルの実施を計画し日程等の調整を進めながら、COVID-19の第2波、第3波の感染拡大に備え、リモート型での実施可能性も同時に検討し調整を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたが、COVID-19による東京都の外出自粛要請により実施が延期となった、がん看護専門看護師によるエキスパートパネルの研究参加協力者への謝礼、ならびにエキスパートパネル会議をICレコーダーへ録音したデータの逐語録作成の委託費用。さらに、薬局薬剤師を対象としたフォーカスグループ・インタビューをまとめた研究成果を学会発表する予定であったが、エントリーできず、研究代表者と共同研究者が参加する予定であった学会参加費ならびに交通費・宿泊費を使用することができなかったため。 次年度は、今年度使用できなかったがん看護専門看護師によるエキスパートパネルを実施するため、使用の予定であった謝礼、ならびにICレコーダーへの録音内容からの逐語録作成委託費用を支出する。ならびに、薬剤師対象のフォーカスグループ・インタビューの研究成果を学会発表する予定であり、その参加費用を支出する。さらに、計画している、がんの専門的知識を有する薬剤師を対象としたエキスパートパネルの実施による費用を支出する計画である。
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