研究課題/領域番号 |
18K10301
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
土屋 雅子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 研究員 (30756416)
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研究分担者 |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40323414)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リンパ浮腫予防 / 包括的支援プログラム開発 / 専門家パネル / 社会実装 / サバイバーシップ支援 |
研究実績の概要 |
がん治療後のリンパ浮腫の予防には,永続的なセルフケアが必要である。セルフケアの継続を支える,退院後の切れ目のないがんリハビリテーション支援は,緊急性の高い課題である。私たちは,先行研究において,がん患者の保健センターでのリンパ浮腫予防支援ニーズ,および行政保健師のリンパ浮腫予防支援の意欲を初めて明らかにした。本研究では,先述の研究成果を発展させ,次の2点を研究目標とする。①地域の病院や行政サービスでのリンパ浮腫予防支援プログラムを,がん専門病院や地域の病院の医療者・がん患者等のステークホルダーと協働して開発する。②上記①で開発したリンパ浮腫予防支援プログラムを,地域の病院や行政サービスで実践し,実践者および患者の双方がそのプログラムを評価する。 2019年度は,地域がん診療連携拠点病院に勤務する看護師および保健センターに勤務する保健師を対象としたインタビュー調査を継続し,合計で看護師6名,保健師4名から同意を得た。逐語録の分析の結果,がん患者に対する地域でのリンパ浮腫予防支援には,生活密着型の健康教育等のメリットがあるものの,地域のニーズや介入効果の不透明さ,関連諸施設との連携の欠如等のバリアーが多数存在することが示された。これらの結果を踏まえ,まずは,患者のセルフケアの継続を促進する効果的なプログラムの開発を目標とし,腫瘍医,がん専門病院の看護師,作業療法士,がん患者等を含む専門家パネルを構成し,第1回専門家パネル会議で支援プログラムの内容について討議した。会議内容を逐語録にし,内容分析した結果,リンパ浮腫に関する情報提供の他に,心理介入や生活調整を行う包括的なプログラムおよび患者自身の状況を把握するためのツールの活用が提案された。今後は,専門家パネルの意見を参考にした支援プログラムのコンテンツ作成および精錬を行い,病院での実践および評価研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に報告した「今後の研究推進方策」通りに概ね進捗しており,最終年度(2020年)には,リンパ浮腫予防支援プログラムの開発および評価研究まで完了できる見通しがたったため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度8月を目途にリンパ浮腫予防支援プログラムのコンテンツ案を作成し,第2回専門家パネル会議を招集する。コンテンツ案に対する討議を経て,コンテンツの修正・精錬を図る。研究倫理審査員会の承認後,病院の患者等を対象に支援プログラムを実施し,その短期・中期的効果を測定するとともに,支援プログラムの実践者および患者から評価を得る。それらの実施報告と評価結果の共有のために,第3回専門家パネル会議を招集し,研究終了とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の研究計画の進捗は、ほぼ順調であったが、研究支援員の雇用ができなかったことと、新型コロナウィルス感染症の影響により、年度末に予定していた学会参加を見送ったため、次年度使用額が生じた。2020年度の使用計画としては、プログラムの評価研究実施にあたり、研究支援員を複数雇用することと、研究成果の発表のために助成金を使用する。
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