研究課題/領域番号 |
18K10304
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牛久保 美津子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (90213412)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 認知障害 / 併存疾患 / ケア / 困難 |
研究実績の概要 |
高齢化および長期療養化の影響により、認知機能障害を有する筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者が増加している現状がある。本研究は、A県内看護職者172名(病院勤務者、訪問看護師、保健所保健師等)を対象にして、認知機能障害を有するALSについての知識や支援経験を明らかにするため、無記名式質問票調査を実施した。あわせて、がんやその他の疾患をかかえて生きるALS療養者への支援経験についても調査を実施した。121名より回収され、有効回答117名であった。内訳は、病院勤務62名(53%)、訪問看護ステーション41名(35%)、保健師14名(12%)であった。ALS療養者が認知機能障害を有することがあるについては、「知っていた」71名(60.7%)、「知らなかった」46名(39.3%)であった。認知機能障害を併せもつALSの支援経験があるものは約4割であった。認知機能障害を併せもつALSの支援経験を質的分析した結果、以下の4つのカテゴリが抽出された。看護職者は【病状理解に関する支援の難しさ】、【ALSと認知機能障害が合わさることで高まる意思疎通困難】、【認知機能障害が合わさることで高まるケア困難】の困難を経験した一方で、【認知機能障害は対処可能であり、患者が疾病受容の辛さから解放されるので救われる思い】といったやりやすさをもいだいていたことが明らかとなった。ALS単独の場合であっても、支援は難しい。ALSと認知障害を併せもつことで、患者の理解度が低下しコミュニケーション困難がより支援を複雑していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質問票調査は集計が終わり、現在、質的分析中である。学会発表を行うための準備を行う。看護師の支援経験をより深く明らかにするための面接調査を2組(家族介護者と担当訪問看護師)を実施できた。引き続き、対象者リクルートしていき、実施する。また認知障害を有するALSに関する研修会を行う予定であり、研修会ニーズを調査したところである。訪問看護からは比較的多くの希望があったが、病院勤務者はそれほど高くなかった。そのため、研修会実施を含めて、対象者や研修内容や開催日などについて、研究者内で検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
現場においては、ALS単独への支援に困惑していることが多く、これに認知機能障害が加わった場合の支援の違いについては区分できないようである。そのため、ここ最近における海外の文献検討を入念に行い、ヒントを得るようにする。対象者の確保については、学会等でであった経験豊富な看護師に相談をしてみる。また、認知機能障害を有するALSに関する研修会を行う予定でいたが、研修会ニーズを調査したところ、希望があまり多くなく、また病院勤務、訪問看護等で意見が分かれた。そのため、研修会実施を含めて、内容や時間、対象者について研究者内で検討している。次年度に、県央で実施する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成にあたり、英文校閲費を計上していたが、質的分析に難航し、論文化が間に合わず、英文校閲費は次年度に使用する。また、研修会開催も予定していたが、ニーズ調査は実施したが、集計に手間取ったため、開催が実施できていない。
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