研究課題/領域番号 |
18K10304
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牛久保 美津子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (90213412)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 認知機能障害 / 多疾患併存 / マルチモビディティ / 看護支援 / 難病 |
研究実績の概要 |
3年目は、昨年度と同様、認知機能障害を有する筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者の事例検討を行う予定であったが、昨年度来の新型コロナ感染症の流行により、調査が実施できない状況である。そのため、文献検索を行い、エビデンスや知見の収集に努めた。また、昨年度に実施したALS支援経験者を対象とした調査結果のまとめを行った。認知機能障害を有するALS療養者の支援に関する研修会の参加者22名を4グループにわけて、ALSと認知機能障害を併せ持つ場合のケアや関わりの工夫点や考え、支援上の課題についてグループディスカッションを行った。得られたデータは質的帰納的分析を行い、コード、サブカテゴリ、カテゴリを抽出した。ケアの工夫や考えでは、16サブカテゴリから6カテゴリが抽出された。6カテゴリは[認知機能障害のアセスメントの工夫]、[病院と地域との連携強化]、[こだわりへの具体的対応方法の工夫]、[説明方法の工夫]、[意思決定支援]、[認知機能障害の受け止め方]であった。支援上の課題は、5サブカテゴリから2カテゴリ[認知機能障害の評価]、[ケア提供者型の対応]があげられた。ALSに認知機能障害を有することにより、日常生活へのこだわりが強くなり、支援者からのケア変更の申し出をスムーズに受け入れることが困難となる。そのことで、本人と看護師の安全性確保が問題を引き起こし、看護師はどこまで療養者の要望にそうべきかジレンマをいだく。またケアに時間を要することで他患者のケアに支障が及ぶ。また看護師への罵声やハラスメント、コミュニケーション困難もあり、看護師が心身ともに疲弊し、ケアの質の低下をまねく構図が明らかになった。ALSに認知機能障害が併存している場合は、療養者への対応が難しく、病院と地域とが一層の連携強化をし、それぞれの療養場所のメリットを発揮した最適なケアを追究する必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際の事例における支援内容を記述する調査を実施予定であったが、COVID-19の流行により、療養者側、家族介護者側、支援者側より協力を得ることが難しく実施できていない。オンラインでの実施に切り替えることは難しい調査内容であるため、調査方法や調査内容の変更を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19が終息傾向がみられるまでは調査実施が困難である。文献を検索して、ALSで認知機能障害を有する看護支援について検討をはかり、総説といった形でエビデンスを発信するなども検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に論文がアクセプトされなかったため、掲載料の支払いが発生しなかった。また、実地調査ができなかったことから、調査に関わる費用が発生しなかった。今後に調査が実施できるかどうかは新型コロナ感染症の流行情勢をみながら考える。成果発表のためのいくつかの学会参加は、参加費のみで出張旅費が発生しなかった。
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