既存文献から事例の収集を行い、認知機能障害、あるいはがんを併存した筋萎縮性側索硬化症者について文献研究を行った。 1.認知症を併せ持つ筋萎縮性側索硬化症に関する研究の概要 希少性を特徴とするALSの中にも認知症を併せ持つ療養者が増加あり、ケアのあり方の検討のため、事例報告を収集し、事例の概要、支援上の困難、支援のための提言を整理した。文献14件の研究目的は、症状対応や、チーム・地域支援に関するものが多かった。支援上の困難では【認知症の症状や行動への対応困難】【ケア困難・負担の増大】など5カテゴリ、支援のための提言は【個別支援(具体的ケア方法)の工夫】と【支援態勢(体制)整備】が多く、多職種連携での対応が抽出された。多様な職種による多様な視点で報告がされていた。支援困難は認知症の症状・行動への対応が多く、ケア困難・負担増大につながり、個別支援と地域支援における多職種アプローチの提言がされていた。 2.がんを併せ持つ筋萎縮性側索硬化症に関する研究の概要 ALSとがんの併存症例の支援を考えるため、文献検討から既存の症例報告を整理し、基礎資料を得ることを目的とした。23編の論文から計26例を抽出した。患者の54%が70代以上であり、18例(69%)は癌の前にALSと診断され、3例(12%)が先に癌と診断され、5例(19%)がほぼ同時に診断された。文献の内容では、手術関連9例、手術の麻酔関連5例、化学療法・放射線療法のいずれかに関連する4例であった。9例はTPPVによる呼吸管理下であった。ALS患者が癌治療を受けた3例を除くすべての報告で、癌治療は成功したと記述されていた。治療法の進歩により、ALS患者に対する積極的ながん治療が可能であることが示された。本研究の結果は、最適な医療を決定する上で、それらの患者への支援においyての情報提供に役立つと思われる。
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