研究課題/領域番号 |
18K10307
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
臺 美佐子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (50614864)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 蜂窩織炎 / 再発リスク / 超音波画像診断 |
研究実績の概要 |
本研究は、リンパ浮腫患者の蜂窩織炎再発予防プログラム構築を目指し、5カ年計画にて遂行予定である。第2次年度となる今年度は、第1段階として、リンパ浮腫患者の蜂窩織炎発症要因を国際有病率調査の2次解析にて明らかにした。蜂窩織炎既往歴のある者は、専門家へのアクセスが悪いという社会的側面からの結果を得た。これが、病態的な特徴に影響をもたらしていると考えられ、第2段階として蜂窩織炎再発リスクを有する下肢リンパ浮腫患者の病態を明らかにするために、真皮・皮下組織の構造を超音波診断画像(エコー)を用いて観察した。 第2段階の研究は横断観察研究で、リンパ浮腫外来を有する病院1施設に通院中の下肢リンパ浮腫患者から診療上で得られたエコー画像を対象とした。包含基準は下肢リンパ浮腫患者と診断された者のエコー画像で、急性炎症中の者の画像は除外した。エコーは、リンパ浮腫患者の診療を専門とする医師1名によって診療内で使用されている機器(リニア型プローブ・周波数10-16MHz)で撮影された。部位は、1下肢各3部位(大腿・膝関節下10㎝、膝関節下20㎝)を両下肢撮影され、合計6カ所であった。得られた画像を、研究者が患者基本情報をブラインドした状態で質的記述的方法でリンパ浮腫患者のエコー画像に見られる所見パターンを抽出し、蜂窩織炎既往有無で分類した。 対象者は43名で、合計258枚のエコー画像から、リンパ浮腫特有のエコー所見として真皮、皮下組織内の所見を数パターン抽出した。これらの画像を、蜂窩織炎罹患歴のない者20名、蜂窩織炎既往歴のある者23名で比較し、蜂窩織炎既往歴のある者に特有のエコー所見を得た。 現在、エコー所見分析の途中であり、今後超音波検査士ならびにリンパ浮腫を専門とする医師へのコンサルトを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第2段階の研究結果を分析している段階である。今後はエコー所見パターンについて、専門家へのコンサルトに基づく検討が必要である。第2段階の研究が凡そ完了できているものの、結果の妥当性確認と考察が必要であることから、概ね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
第2段階の研究結果について専門家へのコンサルテーションを図る。具体的には、蜂窩織炎再発リスクを有する下肢リンパ浮腫患者のエコーパターンが、どのような意味をもつのか、どのような病態を示しているのかについて議論する。これにより蜂窩織炎再発リスクを有する下肢リンパ浮腫患者の真皮・皮下組織の構造及び病態を明らかにすることができる。 今後は第3段階として、蜂窩織炎再発リスク者の患肢の脂肪組織の局所免疫状態及び細菌叢を明らかにする。
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