リンパ浮腫患者の蜂窩織炎再発要因を探索し、再発予防プログラムを検討することを目的として、今年度は真皮・皮下組織のエコー所見のアルゴリズム化、及び、皮膚・脂肪組織・口腔の細菌叢の特徴を分析した。 真皮・皮下組織のエコー所見の特徴について、グループフォーカスインタビューと症例集積により情報を整理・集約し、アルゴリズムを作成して学術集会で発表した。このアルゴリズムは、まず皮下組織のエコー所見を、層構造の明瞭性、敷石様像の有無について観察することでリンパ浮腫の程度を推測し、さらに、真皮低エコー所見の有無を観察することで、蜂窩織炎のリスクを推測する構造とした。また、このアルゴリズムを、急性期病院のリンパ浮腫管理を実施する外来2施設に導入し、1年間のフォローアップにより継続使用可能であることを明らかにした。 皮膚・脂肪組織・口腔の細菌叢について、昨年度に得られたサンプルの分析を進め、リンパ浮腫患者の細菌叢の特徴を見出した。しかし、症例数を増やすことができなかったため、蜂窩織炎既往歴を有する患者の特徴を抽出するには至らなかった。 今後は、これまでに明らかにした、リンパ浮腫患者の蜂窩織炎既往歴を有する者のエコー所見並びに、リンパ浮腫患者の細菌叢の特徴から、蜂窩織炎再発に特異的な細菌叢の特徴について対象を絞り症例を集積していく。
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