研究課題/領域番号 |
18K10309
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
下里 誠二 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (10467194)
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研究分担者 |
松永 保子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50269560)
木下 愛未 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (50783239)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 包括的暴力防止プログラム / リスクアセスメント / 協働 |
研究実績の概要 |
本年度はアセスメントシートの記入シート部分と記入見本の原案を作成した。このシートとこのシートに対する意見や現在のリスクアセスメントに関する質問を盛り込んだ調査票を、を包括的暴力防止プログラム(Comprehensive Violence Prevention and Protection Program:CVPPP) のインストラクター(CVPPPの公式な研修を開催し指導者となれるもの)結果65名より回答が得られ(回収率64.4%)、男性は49名、女性は16名であった。平均経験年数は17.88±5.56年であった。既存のツールに関して、HCR-20の「過去の暴力」「活発な精神症状」「衝動性」、BVCの全項目、Bailyの「引き金」「標的」では活用頻度が高かった。「初回暴力の年齢」「雇用問題」「実行性を欠く計画」では利用頻度が低く、また「サイコパシー」は範囲が広かった。自由記載の内容から、活用頻度の高い項目では、信頼性があり、簡便で、有用性を実感していること、業務で義務化されていることなどが理由であった。活用頻度の低い項目は援助対象者の特性や情報収集の困難さが挙げられていた。現在のリスクアセスメントの状況としては直接接する際に必要な項目が利用されていた。利用頻度の低い項目は当事者と長く話をしないと情報が得られない項目と考えられた。作成したシートに関しては「事前に希望を聞くこと」については賛成という声が多かったがクライシスプラントの差がわかりにくいという意見があった。またより簡便なものを求めたいという意見が多数であった。臨床では直接危機状況に対応するための簡便な方法が望まれるようであったが、アセスメントするというより、より相互理解のためのツールとして修正を加える必要があると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の調査そのものは順調であったが、本年度の調査から、シートそのものの簡便性を求める声が高かったこと、また既存のツール(クライシスプラン)との違いを明確にする必要性が生じた。このことから早急にシートの骨子について検討する。また、次年度以降のシートの活用について、試行するための協力施設とその体制を本年度中におおむね内定させる予定であった。しかしシートの内容について検討する必要があることが分かったため、今後早急に協力体制を確立させていく必要がある。また、本シートを活用する予定であった包括的暴力防止プログラムのマニュアル整備が若干遅れており、導入が遅れていることも原因の一つであるが、前期中にこのプログラムの中でシートを紹介し、導入していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査結果をもとに2019年度はアセスメントシートに関して、簡易性を考慮しつつ改定を行い完成を目指すと同時に使用法の手順解説書を作成する。完成後、包括的暴力防止プログラムの中で試行導入を依頼する。研究に関する倫理審査手続きを行い、導入調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入品を値下げしてもらったため、その分が未使用となった。
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