研究課題/領域番号 |
18K10309
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
下里 誠二 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (10467194)
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研究分担者 |
松永 保子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50269560) [辞退]
木下 愛未 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (50783239)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 攻撃性 / マネジメントプラン / 協働 |
研究実績の概要 |
本年度はアセスメントシートを活用し、5施設程度に調査することとしていた。 しかし、昨年度の調査から、アセスメントシートを単にリスク時にどのような対処をするか、に焦点を当てるとクライシスプランやセイフティープランと差が見えにくいことが指摘された。そのため、一旦アセスメントシートを見直すこととした。7月までにCVPPPインストラクターに意見を聞きながら、昨年度の意見と合わせ修正を行い、その後、9月までに3名のインストラクターに評価を求め最終版とした。結果として、現行のアセスメントシートはアセスメントという言葉そのものが、スタッフが無意識に当事者の人格そのものまで評価してしまうことにつながる。本来の目的はそうではなく、スタッフが単に当事者と対話することでその人自身を理解できるようになることと考えられた。そこでシートの名前を「CVPPPケアシート」とした。さらにその目的を①当事者の人生を含めて対話をすることによって②当事者を理解することとし、この結果当事者の希望やまた味方になる人がわかり、アセスメントが可能になるものとした。校正したものを中央法規出版から出版した「最新CVPPPトレーニングマニュアル」に掲載し、CVPPPインストラクターに説明会を開催した。結果10月以降の利用となり、またその後のCOVID-19の影響で当事者とスタッフがケアシートを利用する時間があまりとれなくなったこともあり、1施設からのみのデータとなった。 事例の中では看護師から「自分が常に質問するばかりのような声掛けになっていることに気が付くことができた。お互いを理解するということを考えた。」「当事者が考えていることを今まで知らなかったことに気が付いた」という感想があり、作成しなおした目的に合致していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は前期に計画を見直し、シートそのものを大幅に見直した。この結果時間はかかったものの、当事者を「評価する」のではなく「ケアのために相互理解する」という目的を強化したシートができ、書籍に掲載することができた。本の出版が10月にずれたためにそこからケアシートの導入開始が遅れた。その後新型コロナ肺炎の影響もあり、データがとりづらくなった。このため令和元年はデータが1施設にとどまったが良い反応が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度完成したケアシートであるが、内容としてはケアという文脈を反映し、強制したり支配、管理するという側面を極力排除し、相互理解する中で危機状況に対応するという点で問題ないと考えている。このためこのシートを利用継続し、データを集積したいと考えている。しかし、現在のところ、COVID-19の感染対策の影響があり、スタッフと当事者がケアシートを利用することに関しては、病棟そのものにお願いできない状況にあるため、すでに利用したスタッフから質問紙調査を行うなどの内容に修正しつつ可能な限りデータを増やすことを検討していく。
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