研究実績の概要 |
認知障害を起こした悪性脳腫瘍患者家族エンパワーメントに関する文献検討を改めて広く詳細に行った。その途上で複数の学会に参加し、情報収集や他の専門家らと意見交換を行った。さらに悪性脳腫瘍患者の治療件数等を踏まえ、研究分担者と会議を持ち、4年間の研究の方向性について話し合ったうえで、第一段階としての研究計画を明確にした。 本研究では、家族中心のエンパワーモデル(Family-Centered Empowerment Model:F(A)CE-M)に着目している。これは、家族をひとつのケアの対象としてとらえ、家族自らが持てる力を発揮し、健康的な家族生活が実現できるように、予防的・支持的・治療的な援助を行うことを目指したモデルである。家族へのempowermentが患者の心身の健康だけでなく、患者・家族両者のQOLやセルフエフィカシーを改善したり負担を軽減したりするなどの様々な効果を得ることができると報告されている(Najafi et al., 2017; Omebrahiem A. et al., 2018; Sanaie, et al., 2016; Azimi, et al., 2016)。患者家族が困難に対応するための力を伸ばすことが医療者には求められる。特に看護師の関わりにより家族が家族自身の健康を改善することが最も大きく影響することが指摘されている(Arief, et al., 2016)。 そこで現在、家族に関わり得る医療スタッフの中でも看護師によるケアに焦点化し、第一段階の研究の調査(認知障害を起こした悪性脳腫瘍患者家族のケアの実態調査)を実施中である。脳神経外科看護師10名に対するインタビュー調査(半構造化面接)であり、今後質的分析を行う予定である。
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