研究課題/領域番号 |
18K10311
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森本 美智子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (50335593)
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研究分担者 |
谷本 安 独立行政法人国立病院機構(南岡山医療センター臨床研究部), 医局, 院長 (60284098)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 息切れ / QOL / 家族間コーピング / 慢性呼吸器疾患 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、慢性呼吸器疾患患者(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎(IP)等)とその配偶者に対して行ったインタビューに、観察データを補完的に用いた解析を行った。対象者は、modified MRC 3以上の息切れがあり、同状態が6か月以上続いている患者と配偶者9組計18名であった。患者はすべて男性で、在宅酸素療法を行っていた。 観察データから、患者‐配偶者の力関係、場の緊張を和らげるために用いられている対処についても要約した。観察データにおける両者の関係性は、多様な局面を説明するうえで役立つとされている。患者の力関係が強く観察された患者‐配偶者では、配偶者の個別インタビューによって “人前にでるのが嫌というか気になった”と酸素療法をしながらの生活が、配偶者にとってストレスな事態になっていることが語られた。しかし、患者には“言えなかった”と我慢・譲歩的関係対処をしていることが示された。一方、配偶者の力関係が強く観察された患者‐配偶者では、冷ややかな態度や個別インタビューで“しんどいと言いながら酸素なしで行動する”と否定的な内容が主として語られた。インタビューデータについては、Bodenmann(2005)の分類を参考としながら抽象化しているが、観察データを用いることによって対処をより動的に構築することを目指している。さらに詳細に分析をすすめ、評価指標を検討するとともに、家族との関係性を加味した息切れに対する支援プログラムの構築へと繋げていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
わが国の慢性呼吸器疾患患者とその配偶者の二者間での息切れに対する対処プロセスを記述し、対処プロセスや評価指標の検討をする必要性が生じた。息切れがある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者および間質性肺炎(IP)患者とその配偶者に対してジョイント・インタビューと個別インタビューを行ったが、その分析に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
データを質的帰納的に分析している。質的帰納的な分析結果を考慮しつつ共同研究者と検討して、評価指標の検討、支援プログラムの構築へとすすめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当初計画していた体組成計の機器を、計画修正により、購入していないことが挙げられる。また、コロナ禍で学会がWeb開催になるなど当初計画していた学会参加を行えておらず、旅費が発生していないことも挙げられる。 使用計画:次年度、データの検討に必要な物品費や成果発表を行うための費用等に充当する。
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