本研究は、慢性呼吸器疾患患者の息切れに対して、行動、気分、感情状態および認知に対処するという観点から支援プログラムを構築し、その効果を明らかにすることを目的とした。本研究では、家族との関係性を考慮に入れることを主要課題としており、患者‐配偶者の二者間での対処プロセスを記述したうえで、家族との関係性を加味した支援プログラムの構築を目指した。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫合併特発性肺線維症(CPFE)、特発性肺線維症(IPE)と診断を受け、modified MRC3以上の息切れがあり、同状態が6か月以上続いている患者とその配偶者を対象に、二者間で行われている対処努力に着目した調査を実施した。インタビューデータに観察データを加えて検討を行った。 二者対処としては、「相補的な二者対処」「支持的な二者対処」「代理的な二者対処」「両価的な二者対処」「回避的な二者対処」「譲歩的な二項対処」が示された。病気について、相補的にかかわっている二者の場合、積極的なリハビリテーションにつながるなど、患者の適応的な行動と結び付いている様相が示された。息切れの安定している患者においては、患者が配偶者のサポートをしている様相も示され、関係性のバランスと心身の安寧が保たれている可能性が示唆された。一方、患者の力関係が強く観察された患者‐配偶者では、調整対処としての「回避的な二項対処」や「譲歩的な二項対処」が多く語られた。 患者とその配偶者は、二者間で調整を行って、病気や息切れをもちつつ生活することに対処していた。一方で、配偶者にとってもストレスな事態になったことが語られ、社会生活・対人関係上の調整対処を必要としたことが示された。また、無関心で相互に回避的な対処をとっている二者の様相も示され、配偶者を含めた教育支援プログラムの必要性を示唆した。
|