研究課題/領域番号 |
18K10314
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
新井 清美 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50509700)
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研究分担者 |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アディクション / 発達障害 / 支援ツール |
研究実績の概要 |
2018年度は、アディクションを重複する発達障害者の実態と支援の現状を明らかにし、発達障害とアディクションの種類の特徴に応じた介入方法を検討することを目的とし、インタビュー調査を行った。 対象は医療機関やアディクション回復・相談施設のスタッフであり、6名から調査への協力が得られた。調査内容は、1)これまで対応した対象者のうち、対応に苦慮した対象者の有無と特徴、2)好事例と困難事例へ行った支援内容、3)手ごたえと困難感、4)対象者を支援する上での課題、であり、これらの内容について自由に語っていただいた。データの分析に際し、音声データから逐語録を作成した。その後、語られた文脈を重視して単独で理解可能な最小単位の言葉や文節を取り出しコードとした。このコードを類似性と関連性の観点から継続的に比較し、サブカテゴリ、カテゴリを抽出した。 インタビューから、【対象の背景】に関する5サブカテゴリ、【対象の特徴】に関する27サブカテゴリ、【スタッフの意識】に関する9サブカテゴリ、【周囲への支援】に関する8サブカテゴリ、【当事者への支援】に関する28サブカテゴリ、【支援する上での課題】に関する21サブカテゴリが抽出された。アディクションを重複する者のうち、<発達障害を持つ人の割合>は半数程で年齢や性別による違いはない。元々この特徴を持っていたけれども<依存症が発達障害を際立たせる>こととなっている。<情動の動きがない>、<言葉だけでは理解が難しい>こと等からスタッフとしては<従来の考えが当てはまらない>状況に直面しており、<類型を念頭に話を聞く>ことで対象理解をしたり、<具体的なかかわりをする>等の工夫をしている。この様な工夫は<手探りの対応>の側面も併せ持つため、対象を支援するためのツールやわかりやすい媒体、支援のためのネットワークの構築等を求めていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画はアディクションを重複する当事者への支援の実態と課題の明確化であり、そのために支援を行うスタッフにインタビュー調査をすることであった。当初の計画よりもインタビュー対象者の人数は少なかったものの、支援の実態と課題を明らかにすることができたことから、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、今年度の成果を基に質問紙を作成し、当事者の割合と特徴を把握するための調査を行う。これと並行して当事者にもインタビュー調査を行い、当事者の抱える困難感とアディクションに陥った要因、求める支援を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、当初計画より少ないインタビューの実施で成果が得られたため、調査に伴い生じる謝金、旅費、テープ起こしのための業者委託費が計画より少ない費用となった。 次年度は、当事者の割合と特徴に関する実態調査を行う。これに加えて、当事者へのインタビュー調査も実施する。次年度使用額は、実態調査のための調査票の発送・データ入力の業者委託費、及び当事者へのインタビュー調査を行うための旅費、謝金、テープ起こしの業者委託費と、データ収集・分析のための物品購入費に用いる。また、今年度の成果発表のための費用とする。
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