研究課題/領域番号 |
18K10314
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
新井 清美 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (50509700)
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研究分担者 |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アディクション / 発達障害 / 支援ツール |
研究実績の概要 |
本年度は、アディクションを重複する発達障害者の実態と支援の現状を当事者の視点と支援者の視点双方から明らかにし、発達障害とアディクションの種類の特徴に応じた介入方法を検討することを目的に①アディクションの治療を行う医療機関、回復施設を対象とした自記式質問紙による実態調査、②アディクションを重複する発達障害者に対するインタビュー調査を実施した。 ①では、医療機関103施設、回復施設87施設の計190施設に質問紙を郵送し、47施設(回収率24.7%)から回答を得た。その内訳は病院6施設、診療所2施設、回復施設37施設、その他2施設であり、アルコールは全施設、薬物は8割程度、ギャンブルは7割程度の施設で受け入れていた。47施設のうち、発達障害者あるいは発達障害が疑われる方を受け入れた経験のある施設は43施設(91.5%)であり、35施設(74.5%)で発達障害に関する勉強会や研修会等、支援に必要な情報を得る機会を設けていた。発達障害に重複するアディクションの種類をみると、アルコール、薬物が多かった。 ②では、17人に対して半構造化面接を行い、本研究の対象条件に合致した16人のデータを分析した。対象の内訳は男性12名、女性4名、平均年齢37.3歳、発達障害の種類で最も多かったのはADHD(重複含む)で9名、アディクションの種類はアルコール(他の種類の重複含む)8名、インターネット・ゲーム・SNS(他の種類の重複含む)6名であった。インタビューで語られた内容についてコード化し、サブカテゴリ・カテゴリを検討した結果、32のカテゴリが抽出された。ここでは、幼少期の体験や発達障害の特性からくる生活上の困難、それを解消してくれたアディクション、マイナスの影響が生じてアディクション行動を止めようという思いに至ったこと、身に着けた対処法と求める支援に関する内容が含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、アディクションの治療を行う医療機関、回復施設を対象とした自記式質問紙による実態調査、アディクションを重複する発達障害者に対するインタビュー調査を実施することであった。当初の計画を遂行することができたため、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、本研究でこれまでに得られた結果と既存の介入プログラムを活用し、アディクションを重複する発達障害者への支援ツールを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アディクションの治療を行う医療機関、回復施設を対象とした自記式質問紙調査において、対象とする機関を厳選して実施したために当初計画より少ない費用となった。また、アディクションを重複する発達障害者に対するインタビュー調査において、当初計画より少ない対象者数で飽和に達するデータを得ることができたため、調査に伴い生じる謝金、旅費、テープ起こしのための業者委託費が計画より少ない額となった。 次年度は、当事者への支援ツールの作成を行う。これに必要な資料を収集するとともに、当事者を支援する専門家からの助言を得るための謝礼や交通費等の費用とする。また、今年度の成果発表のために用いる。
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