研究課題/領域番号 |
18K10327
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
荻野 夏子 東海大学, 医学部, 講師 (80266600)
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研究分担者 |
吉川 隆博 東海大学, 医学部, 准教授 (00433376)
北村 周美 東海大学, 医学部, 助教 (00631805)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 精神科看護 / 訪問看護 / 身体合併症 / 在宅医療 / 精神疾患 |
研究実績の概要 |
1.文献収集及びレビュー作業について:文献収集の結果、現在、各国で精神疾患患者の身体合併症の現状について疫学調査が行われ、徐々に明らかになっている段階である。精神疾患患者の身体合併症の背景は多様であるが、その一つとして肥満のハイリスク状況を例にとっても、肥満につながる栄養や運動などについてのデータが示された文献は乏しく、看護介入を行うための基礎的な実態調査がさらに必要であることが明らかになった。 2.精神科専門学会での専門部会参加について:学会発表では精神症状に焦点を当てた発表がされていた。精神科訪問看護の発表をきき、地域での実践状況について情報を得た。身体合併症関連では看取りや教育的支援などが病棟実践として報告されていた。精神科訪問看護では身体的なケアを焦点とした発表がとぼしく実態調査の必要性があきらかになった。 3.データ分析のための専門ソフトのトレーニングについて:本研究の2次調査では質的研究支援ソフトであるNVivoを用いるが、トレーニングが必要であり、2日間の研修会に参加した。また質的研究支援ソフトの特徴や利点欠点についての文献を収集し、分析方法論について詳細に検討した。 4.調査票の開発および倫理申請について:1次調査の調査票を共同研究者とともに開発した。文献等に出現する診断名やケアを想定して開発したが、さらに神奈川県内の訪問看護ステーションでの聞き取りを参考に現在行われている地域ケアの現状を踏まえ、記載項目を構成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は現在、ほぼ予定通りの進捗状況である。2018年度の活動は以下の通りである。 交付決定から8月までは予算の詳細計画、購入物品の準備、文献の収集をおこなった。特に統合失調症の身体合併症についての重要な海外論文について、お互いにレビューし報告した。9月以降はアンケート用紙の作成のため、神奈川県内の訪問看護ステーション2か所にヒアリングを行った。また、10月26-27日には精神科看護専門学会に参加し、訪問看護の実践報告および地域ケアのシンポジウム等に参加した。ヒアリング等の結果、訪問看護で扱う疾病に出産前後のケアも含まれており、想定以上に多くの身体疾患が訪問看護で行われていることが分かった。これらのことからアンケート項目に必要な情報や配慮について整理した。11月に健康科学部倫理審査委員会、東海大学臨床審査委員会の倫理審査を受け、修正後承認された。1月からは精神科看護協会に名簿提供の依頼のための説明を口頭及び文書で行った。2月に承認され、約900か所の情報提供を受けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で収集する訪問看護の実践報告は2018年度のものである。そこで2019年5月以降にアンケートを配布する。アンケートは約900か所に配布する予定である。30%の回収を目指す。また同時にインタビューへの協力依頼を行う。インタビュー参加可能な場合、記名する必要があり、調査票は一部記名式になっている。 2019年度内にアンケート結果の集計および学会報告を行えるように計画している。 2次調査はインタビュー調査であり、2019年度後半を予定している。グループインタビューを行い、現状と課題を詳細に聞き取る予定である。 2次調査についてはインタビューと分析を同時に行うため、なるべく平行してNvivoでの分析を行い、インタビュー調査の向上を目指す。 2019年度は6月と11月に専門学会に参加する予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:計画では4県の訪問看護事業所協会に訪問看護ステーションの名簿提供を依頼する予定であり、その説明のために旅費を計上していた。しかし連絡調整が簡便に実施できたため、旅費が発生しなかった。 使用計画:計画では4県の訪問看護ステーションを対象にしていたが、精神科訪問看護研修会を受講したステーションの全国名簿の提供を受けた。グループインタビューの地域がより広範囲になる可能性があり、旅費をデータ収集の旅費として使用する計画である。
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