研究課題/領域番号 |
18K10327
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
荻野 夏子 東海大学, 医学部, 講師 (80266600)
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研究分担者 |
吉川 隆博 東海大学, 医学部, 教授 (00433376)
北村 周美 東海大学, 医学部, 助教 (00631805) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神科看護 / 訪問看護 / 地域ケア / 精神障害者 / 身体合併症 |
研究実績の概要 |
2024年度は研究成果の社会的還元を目指し、論文の投稿を試みた。論文として投稿したのは、2023年度に国際学会で学会発表した訪問看護ステーションでのグル-プインタビューについてだった。訪問看護師は精神疾患患者が自らの身体合併症の問題に積極的に取り組むことができないことを問題視しており、その要因を語っている。この看護師の視点を社会構成論を理論枠組みとして質的帰納的に分析した。日本における精神疾患患者の身体合併症管理は多くの問題を抱えており歴史的背景や精神医療のシステム、個人の社会基盤の脆弱性などから生じている。患者のそばで問題に取り組もうとする訪問看護の課題を明確化し考察した。 論文作成の過程で、共同研究者とディスカッションを重ね、特に理論的枠組みの活用について英語圏の論文を改めて精査した。日本の学会発表において重視されていない質的看護研究論文の作成基準に適合するために努力した。 精神保健看護の専門誌に投稿したが、採用に至らず、現在は地域保健看護分野の専門誌に投稿を試みているが採用に至っていない。今後も論文の推敲を重ね、発表に向けて努力してゆく。 本研究は身体疾患を併せ持つ精神疾患患者への訪問看護の課題の明確化を目的としている。地域で暮らす精神疾患患者にとって、身体疾患の健康管理をしている訪問看護師の役割は重要である。本研究を通して、①訪問看護で取り組んでいる身体疾患は代謝性内分泌系の疾患および循環器系の疾患が多く、国外の報告と同様の傾向であった。そして代謝性疾患を持つ患者へのケアに多くの時間を費やしていた。②訪問看護師の実践の聞き取りから、社会的基盤の脆弱性や患者の諦め、診療報酬と実際の活動の不一致など、訪問看護が直面する課題が明確になり、今後、具体的積極的なケアを実施するための基盤整備の必要性が明らかになった。
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