研究課題/領域番号 |
18K10333
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
林 みよ子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (50362380)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 退院支援 / 脳血管疾患患者 / 家族介護者 / 熟練看護師 |
研究実績の概要 |
今年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、新たな調査協力は得られないかった。そのため、今年度は、これまでに行なった2研究のデータを再分析した。 1.脳卒中集中治療室に配属された若手看護師を対象としたリフレクション介入の効果に関する研究:1年目は、目の前の患者の身体状態にのみ関心を持っているが、2年目頃から、先輩看護師の家族支援や在宅移行支援を目にしそれを真似る、先輩看護師から家族の様子や自宅での生活などの質問を受けてそれを確認することをやっていた。この時に、自己の実践のリフレクションの機会を定期的に持つことで、自己の実践を客観的に捉え、肯定的フィードバックを可能にし、次第に家族への関心を高め、退院後の彼らの生活を見据えた看護を実践するように変化した。意図的な振り返りの機会の日常化が重要であると考えられた。 2.急性期病院の熟練看護師の退院支援に関する研究:熟練看護師は、患者と家族の発症前の生活を確認する中で、彼らの今後の生活・人生を想像しながら、患者の身体状態から今看護師にできることを判断していた。この実践には、看護師の先を予測する力が必要であり、彼らの予測力は、情報に基づいて患者や家族の今後を想像し、それと実際に起こった出来事(想像の成り行き)とを比較することを繰り返すことによって、自分の想像することの確かさを高めているのではないかと考えられた。 以上のことから、急性期部署の若手看護師に対して少なくとも1年間のリフレクションを意図的に教育に組み込むことによって、在宅移行支援に必要な予測力を高める基礎的能力を育成すると推測され、急性期からの継続的な在宅移行支援に寄与すると考えられた。先行研究の多くで、急性期部署における退院支援の困難さが報告されているが、こういった実践者育成を同時に行う必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究対象者が新型コロナウィルス感染症患者を受け入れる看護師であることから、所属施設・対象候補者の協力が得られなかった。また、断続的な感染拡大に伴う本務の仕事量の増加から、研究計画書の修正・倫理審査に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を明らかにするためには臨床看護師を対象とした調査が不可欠である。昨今の新型コロナウィルス感染状況では、調査協力は得難い。これまでに収集したデータに基づいて、入院時から始める脳血管疾患患者・家族に対する早期在宅移行支援プログラム試案を作成し、今後、コロナ感染状況状況を見ながら、追加データ収集と実行可能性検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時は、全国の看護師を対象とした調査研究を行うこと、その成果を国際学会でも発表することを計画していたが、前年度当初の予想に反し、新型コロナウィルス感染症は終息に向かわず、医療体制の逼迫、所属施設での県外移動の制限により、研究活動が極端に制限され、対象者の協力が得られず、計画に従って実施できなかったことが原因である。 今後も、新型コロナウィルス感染症拡大状況は不確かであるが、ZOOmを効果的に用いて感染状況が安定した地域から、感染状況を見ながら協力を求め、研究を継続する。
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