急性期脳血管疾患患者・家族に関わる看護師のヒヤリング、在宅移行支援の関連連文献レビューを行い、以下が明らかとなった。;在宅移行支援には患者・家族の望む生活を捉えることが重要であると言われる。しかし、急性期脳血管疾患に関しては、患者は意思表示が難しく、家族は混乱状態にあることが多い。患者・家族が安定を取り戻すには一定の時間が必要であるが、脳血管疾患患者・家族がこのような状況にある時に在宅移行支援が開始される。そのため、一般的な在宅移行支援の初期段階で必要とされる、患者・家族の思い、家族の関係性・強み・介護力を捉えることが難しい。これに代わって看護師は、患者・家族の心理的混乱を安定させること、患者のADLを向上させること、患者・家族の言動から思いや希望・期待を推測すること、を行っていた。これらを通して看護師は、患者や家族と関わる中で言動とその小さな変化を拾い、介護や退院という話題に触れるきっかけを作り、介護や退院の話題を持ち出せるタイミングを捉えて核心に迫ろうとしていることが明らかとなった。また、現在、多くの施設で脳卒中地域連携パスが導入され、入院時から多職種連携による支援が積極的に行われる。看護師は、患者の回復を期待し現状を受け入れられない家族が退院・在宅移行の流れに置き去りにされないよう、家族の揺れる思いに寄り添っていた。先行研究でも、要介護状態となった脳血管疾患患者の家族の在宅介護の意思決定プロセスを明らかにする中で、家族が後遺症を持った患者を支援する役割を担うことと同時に、患者を介護する役割を担うことも検討していること理解しなければならないと報告している。看護師は、他医療者と連携して在宅療養に向けた物理的・手段的準備を進めるだけではなく、家族の介護者役割の受け入れ状況に注目して家族の受け入れ状況を経時的に観察し、その変化を引き継ぐことの重要性が示唆された。
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