研究課題/領域番号 |
18K10342
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研究機関 | 東都大学 |
研究代表者 |
渡邉 美和 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 講師 (90554600)
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研究分担者 |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40323414)
眞嶋 朋子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50241112)
長坂 育代 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (50346160)
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺族 / がん / 対処行動 / ケア |
研究実績の概要 |
Ⅰ.緩和ケア病棟でがんの近親者を亡くした遺族へのアンケート調査を実施し、データ分析を行った。 1.遺族ケア利用の実態 995名に質問紙を送付し、615名より返送を受け、そのうち遺族ケアに関する項目における有効回答数は492名であった。遺族が経験した遺族ケアの中で最も多かったのは「病院スタッフからの手紙やカード」(47.7%)であり、経験した遺族ケアについては多くの項目で80%以上が「とても助けになった」または「助けになった」と評価した。未経験の遺族ケアについて、複雑性悲嘆の可能性がある遺族の中で「あれば良かったと思う」という回答率が最も高かったのは「病院スタッフと病院で会うこと」(29.1%)、次いで「がん相談支援センターへの相談」(26.3%)などであった。 2.遺族の対処行動パターン 質問紙の返送があった615名のうち、対処行動に関する質問における有効回答数は501名であった。死別後対処行動尺度(38項目)の各因子の得点に基づき非階層的クラスター分析を行った結果、4つの対処行動パターンに分類できた。パターン1(24.4%)は全てのタイプの対処行動を積極的に行う【全般対処型】、パターン2(20.0%)はいずれの対処行動も少ない【少対処型】、パターン3(27.3%)は“絆の保持”のみ積極的に行う【絆の保持焦点型】、パターン4(28.3%)は“気をそらし”のみ積極的に行う【気そらし焦点型】と解釈した。男性で最も多かったのが「少対処型」(33.7%)であったが、女性では「少対処型」は少なく、それ以外のパターンが同程度の割合であった。遺族の続柄ごとの対処行動パターンの割合は、配偶者(男性29.0%)では「絆の保持焦点型」と「全般対処型」が多いのに対し、子供では「気そらし焦点型」が最も多かった。 Ⅱ.遺族へのインタビュー調査の研究計画を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に開始する予定であった遺族へのインタビュー調査の調査内容は、先に行った遺族へのアンケート調査の結果を基に作成する予定であった。しかし、アンケート調査のデータ回収、分析が予定より遅れたため、インタビュー調査の研究計画作成が遅れた。また、研究計画洗練のための研究者会議を2月に開催する予定であったが、COVID-19の影響で開催が延期となり、計画作成の進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の5月までに遺族へのインタビュー調査の研究計画を完成させて倫理審査申請を行う。しかし、COVID-19の影響で調査の開始時期は見通しが立たない。アンケート調査のデータ分析をさらに発展させ、文献レビューも継続しながら、状況に合わせてインタビュー調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺族へのインタビュー調査の実施が遅れていることにより、インタビュー調査にかかる旅費や謝礼、テープ起こしなどにかかる費用が使用されなかった。 また、参加予定であった第2回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会が、COVID-19拡大の影響で中止となったため、旅費と参加費がかからなくなった。
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