研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神障害者・精神医療福祉従事者・企業の三者の視点から、精神障害者の就労促進と定着に求められることと各々の役割を明らかにし、日本型の精神障害者就労支援方策を検討することである。 2021年度は、国内調査の継続として、就労継続支援・移行支援事業所の利用者、事業所スタッフに面接を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、遠隔の日程などが合わず、新たな面接を行うことはできなかった。また、成果を国際学会で発表することもできなかったため、2022年度再延長することとした。 2021年度は、これまで調査した面接内容の分析を進め、統合失調症者にとって一般就労がどのような意味をもっているのかを明らかにするために、12名の面接内容を質的に分析した。その結果、統合失調症を病む就労者である自分との対峙、一社会人になることへの促しを2大テ-マとして抽出し、一般就労は病いを有する就労者である自分と向き合い、誇りの再獲得をもたらすものと考えられた。これを論文にまとめ、日本健康医学会雑誌へ投稿し、受理された(水野恵理子, 坂井郁恵, 高田谷久美子:統合失調症者にもたらす一般就労の意味, 印刷中)。また、雇用者が精神障害者の就労をどのように捉えているのかを分析し、結果の一部を第37回日本ストレス学会学術総会(水野恵理子, 坂井郁恵, 高田谷久美子: 雇用者が捉える精神障害者の就労と支援. 2021年10月30・31日Web開催)で発表し、論文をストレス科学へ投稿し、受理された(水野恵理子, 坂井郁恵, 高田谷久美子:雇用者が捉える精神障害者の就労と支援, 印刷中)。
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