研究課題/領域番号 |
18K10345
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
寺内 英真 信州大学, 学術研究院保健学系, 講師 (60377679)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | せん妄 / 看護 / ケアプログラム / モジュール型ケア / ケア介入 |
研究実績の概要 |
本研究は、せん妄の発症予防及び重症化予防に関するケアプログラムモジュールの開発と導入により、せん妄発症状況の変化を明らかにすることを目的として実施している。 本研究目的に基づき、平成30年度はせん妄ケアの実態について、医療機関での調査を行った。高度救命救急センターに入院した患者を対象に調査を行った結果、同意の得られた14名の対象者中4名(28.6%)にせん妄が認められた。せん妄の発症に関してはICDSC及びCAM-ICUにて判定を行ったが、せん妄発症の4例に共通して見られたICDSC項目中の、「失見当識」「注意力欠如」「不適切な会話・情緒」「睡眠・覚醒サイクルの障害」の4項目であった。 また、看護師の介入内容についても調査を行った結果、せん妄発症患者に他する介入としては、挨拶や時計の設置など見当識の補正、日中の活動を促し、夜間の照明調整及び、薬剤の使用による睡眠・活動の援助が行われていた。さらに、ベッドの低床化や柵の工夫など安全対策も実施率が高い傾向があった。逆に、実施率の低い介入としては、視覚や聴覚などの感覚補正、療養生活環境の整備、精神科へのコンサルテーションなどが挙がっていた。 現在、得られたデータの分析中であるため、他の要因や項目についての結果が得られると考えられる。これに加え、医療機関に勤務する看護師へのせん妄ケアに関するアンケート調査を実施する準備として、今月の倫理審査委員会への審査申請を行っている。今後、実態調査の結果と看護師へのアンケート調査結果及び、文献検討で得られた看護介入とのマッチングを行い、発症要因や患者状態に合わせたケア・プログラム案の作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度にせん妄患者及び看護師のせん妄ケアに関する実態調査を行った際、対象者の選定とデータ収集に時間がかかってしまったため、予定より遅れてしまっている。それにより、分析時期が後にずれてしまっているため、当初予定していた、医療機関に勤務する看護師へのアンケート調査が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年5月の当大学倫理審査委員会への審査申請を行い、医療機関に勤務する看護師へのせん妄ケアに関するアンケート調査を行う。本アンケートによる結果と前年度に実施したせん妄発症状況及び、看護師のせん妄ケアに関する実態調査結果から、医療機関内で実施可能で、看護師にとって通常ケアの一環として行えるケア項目の選定を行う。 また、これまでの文献検討でエビデンスの確認されているせん妄ケアとアンケート・実態調査から得られたケアをマッチングし、実施可能なケア項目を絞り込む予定である。これらにより抽出されたケア項目について、せん妄発症要因(準備因子、直接因子、誘発因子)の枠組みに基づき分類し、ケア項目のモジュール化を行いケア・プログラムの原案を作成する。 本年度は、このモジュール化されたケア・プログラム原案のプレテストまでを行い、ケア・プログラムの問題点の洗い出しと修正を行う。 次年度は、修正ケア・プログラムを用いた本調査を行い、せん妄発症率、重症度、せん妄発症期間、ケアの実施率などに関するデータ収集を行う予定である。これら結果より、モジュール型ケア・プログラムの有用性についての検証を行いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、平成30年度に実施予定であったアンケート調査について、実態調査を先に行ったことからできていない状況であり、次年度使用額が生じた。また、得られた結果について、学会発表を行う予定であったがデータ収集など研究進捗状況により、令和元年に学会発表及び、論文発表に使用する計画である。アンケート調査についても、今年度に実施するよう計画・準備を行っている。
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