研究課題/領域番号 |
18K10345
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
寺内 英真 富山県立大学, 看護学部, 講師 (60377679)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | せん妄 / 看護 / ケアプログラム / モジュール型ケア / ケア介入 |
研究実績の概要 |
本研究は、せん妄の発症予防および、重症化予防に関するケアプログラムモジュールの開発と導入により、せん妄発症状況の変化を明らかにすることを目的として 実施している。 研究目的に基づき、令和元年度は看護師の実施しているせん妄ケアについて、アンケート調査を行った。中部地方にある6施設の看護師を対象に、日々実践しているせん妄ケアの内容や使用スケール、チームでの介入などに関する調査を行った結果、700件中220件(31.4%)回収された。対象の平均年齢は、34.3±9.4歳で、看護師経験年数の平均は、11.1±8.5年であった。現在の所属診療科については、集中治療部が61名(27.7%)と最も多く、次いで消化器外科54名(24.5%)、心臓血管外科42名(19.1%)であった。せん妄に対する看護計画・マニュアルやチームでの介入については、7~8割で「有る」と回答しており、看護師個人の介入の特徴としては、「挨拶の実施」、「痛みのコントロール」、「離床を促す援助」、「患者の安全対策」を多くの看護師が実施していた。しかし、患者の状態に合わせた介入方法の工夫については、実施率の低いものがいくつかの項目でみられていた。 前年に実施したせん妄患者ケアの実態調査の結果でも、これら項目の実施率は高かったが、現在、データの分析途中であるため、傾向の詳細や特徴については、今後明らかにしたいと考える。また、前年の実態調査より、せん妄の発症にかかわる要因について、文献で報告されている結果を参考に発症経過モデル案の作成を行った。これらをもとに、せん妄ケアモジュールとなる、ケア・プログラムの作成を令和2年度に実施し、数事例に対して介入を行う予定である。これら結果より、モジュール型看護ケア・プログラムの原案の作成を目指したいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療機関に勤務する看護師へのアンケート調査について実施し、データの集計および、分析中である。データ収集時期が遅くなったため、現在、データの分析結果と解釈について進めているところであり、若干の遅れが生じている。前年度に実施した実態調査から、せん妄発症経過モデル案の作成まではできており、今回のデータの分析結果と前回の実態調査からの看護ケア内容から、重症化予防に関連する看護ケアの抽出をこれから行う予定であり、研究進捗の大きな後れとはならないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回実施した看護師を対象としたアンケート結果から、普段より実施している看護ケアの抽出を行う予定である。抽出された看護ケアおよび、せん妄発症経過モデルから、時期やケア内容を合わせ、ケア・プログラムの開発を行う予定である。さらに、経過に合わせて、ケア・プログラムの組み合わせができるようモジュール化を行い、その内容について、専門家による(大学教員、臨床看護師、医師など)妥当性の検討および、数例での検証を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
得られた結果について、学会発表を行う予定であったが、データ収集など研究進捗状況の遅れにより、使用予定であった研究費が今回使用できていない。また、昨年度末からの感染症の流行に伴い、専門家との情報交換、研究打ち合わせなど予定していた出張を伴う会議が実施できていない。その他、データ分析、論文執筆用のPCソフトなどの購入についても遅れていることもあり、今回、次年度使用額の差が生じている。令和2年に学会発表及び、論文発表に使用する計画である。
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