研究課題/領域番号 |
18K10345
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
寺内 英真 富山県立大学, 看護学部, 講師 (60377679)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | せん妄 / 看護ケア / ケアプログラム / モジュール型ケア / せん妄予防 / せん妄重症化予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、術後せん妄の発症予防および重症化予防を目指し、看護師が日常的に実施している看護ケアから、より効果的なせん妄予防・発症時ケアについて調査している。また、これらより、実践継続性の高い、せん妄ケア・プログラムの開発を目指している。 これまでに、救急センターでのせん妄発症患者のせん妄発症要因と発症に至る経過について、せん妄発症経過モデル(案)を作成している。また、この時に実施されている、看護師によるせん妄、ケアの内容についてまとめ、「見当識補正」、「不快症状の除去」、「身体状態の安定化」「身体拘束に関する相談と判断」、「不動化の予防」などの実践が明らかとなっている。 上記の結果をもとに作成した『術後せん妄ケアの実施に関するアンケート』の実施の結果から、予防ケア、発症時ケア実施状況については、看護師の臨床経験年数が長い方が患者のリスク対応全般において実施率が高い傾向があり、特に薬剤の使用の判断や多職種との連携に関する判断と実施、病棟内での患者の安全管理と認知機能への刺激などで、より実施率が高いことが明らかとなっている。この他、役職の有無や看護師個人のせん妄ケアについての学習の有無で、それぞれ「あり」に有意差が確認される項目が多くみられている。 現在、これらの結果をもとに、せん妄ケアで経験が浅いことにより見落とされやすい項目および、経験年数などの影響を受けず実施の高い項目を抽出し、先行研究やガイドラインからより効果の高いとされるケア項目を選定している段階である。選定されたケア項目をケアプログラムとして日常ケアに組み込んでもらい、組み込んだケアの実施状況と患者のせん妄症状の有無などを調査するための準備を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症により、病院施設、病棟での外部からのケア介入およびデータ収集に関する協力が得られにくい状況であった。また、病院施設での人員の不足や業務量の増加、感染拡大の危険性などから研究実施まで進められていない。現在、再度、病院施設との調整を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
実施した術後せん妄ケアの実施に関するアンケート調査の結果から、せん妄の予防ケア、発症時ケアで経験や役職の有無で見落とされやすいケア項目の抽出と、普段から実施率の高いケア項目は抽出済みである。せん妄ケアのエビデンスについてまとめられた、PADIS、J-PADなどから、今回得られたケア項目のうち、より効果の高いとされるケア項目を抽出し、患者のせん妄ケアに組み込むためのケアプログラムを作成している。このケアプログラムについて、臨床看護師からの意見集約を実施し、病棟での使用による効果についてデータ収集を行う予定である。 データ収集については、ケアプログラムの実施率、実施内容、患者のせん妄症状の有無と内容、せん妄発症の有無、ケアプログラムの使用感について調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、現在作成しているせん妄ケア・プログラム(案)を実際に病院施設で使用し、実施による効果を検証する予定である。その際、複数の施設でのデータ収集を考えており、研究実施に関する打ち合わせやデータ収集に向かうために、物品費や印刷費、交通費、通信費、会議費などが必要になる。この他、データ収集にあたっては、リサーチアシスタントや研究協力者を考えており、その際に謝礼などが必要となる。 また、得られたデータの分析については、アルバイトや外部業者への委託などを予定しており、研究成果についての学会発表、論文執筆も実施する予定であり、これらの実施にあたり、物品費や人件費、旅費、印刷費などがかかることが考えられる。本研究実施のため、今回の研究費が経費として必要となる。
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