本研究は“日常生活上の困難さ”は「社会適応」の程度に反映されていると想定し、Autistic Traitsの視点から、統合失調症者と高機能ASD者の神経認知機能と社会認知機能の両側面からそれぞれの関係性を調査することであった。 Autistic Traitsが高い者は、否定的な自動思考傾向が肯定的な自動思考は低い認知特性を示し、この傾向はうつ病傾向を持つ者と同じであった。また、ストレス下における対処行動選択において、相対的により合理的であるとされている課題優先ではく情動優先行動パターンを選択肢する傾向があった。一般的に、社会適応の程度の高さと否定的な自動思考傾向は相関する。しかし、Autistic Traitsが高い者であっても、原因帰属の傾向性の偏りが相対的に低い者は、社会適応の程度が高い傾向があったことが分かった。つまり、Autistic Traitsが高いことは、否定的な自動思考を生成しやすいが、原因帰属の傾向性を制御することで、社会適応の程度を改善できる可能性を示唆した。
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