本課題の最終年度は、児童精神科病棟で看護師が実践している家族支援における看護師の“技”について分析し、児童精神科病棟における家族支援ガイドラインの作成を行った。 まず、家族支援における看護師の“技”については、病棟でのフィールワークを行った内容を分析し、主に以下のことが明らかとなった。児童精神科病棟で看護師が実践する家族支援には、立ちながら行う家族支援と座りながら行う家族支援の2つのスタイルがあった。看護師が実践していた家族支援の多くは、立ち話型の家族支援であり、非構造的な家族支援といえ、看護師が行う特徴的な支援であった。一方、座りながら行う家族支援では、家族面談などの構造化された場面に実践されていることが多かった。また、家族支援において、様々な相互関係の中に、家族との”共有”がみられた。その共有において、熟練看護師は、非言語的コミュニケーションを巧みに使い、あえて何も言わない支援を行っていた。 最終的に、児童精神科病棟における家族支援ガイドラインの作成を行った。特に、家族支援に困難感を抱くことが多かった新人看護師らを対象に、精神科認定看護師、児童精神科の経験がある看護師や大学教員によって作成した。児童精神科病棟の看護師を対象としてインタビューした結果から、17のClinical Questionsを抽出し、それに回答する形の内容とした。また、そのCQに関連するテーマの事例についても提示し、なるべく実践に則した。その内容の信頼性と妥当性を高めるために、Appraisal of Guidlines for Reasearch & Evaluation IIの基準項目を参考に、本課題に合わせた基準項目を作成し、評価した。評価は、作成チーム内で、デルファイ法を用いて繰り返し内容を精査した。最終的に、56頁からなるガイドラインが完成し、全国の児童精神科病棟に配布を行った。
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