研究課題/領域番号 |
18K10350
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
内海 香子 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (90261362)
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研究分担者 |
清水 安子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50252705)
藤澤 由香 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (60711942)
及川 紳代 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (90527433)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セルフケア / COPD / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
2018年度から継続して、東北地区の7つの施設の外来に通院する慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)を併存する糖尿病患者19人にインタビューを行い、辞退者1人、条件に合致しない患者が2人おり、16人を分析の対象とした。 個別分析を2事例完了した。そのうち、COPDⅠ期70台前半男性のCOPDと糖尿病の2つの病気のセルフケアの様相は、【生活の張りである仕事】として、「辞めたい気持ちもあるが、皆から頼りにされていることを感じ、仕事を継続している」に支えられ、【糖尿病を悪化させないように行うセルフケア】として、「糖尿病になったのは仕方がないと受け入れ、知人のように糖尿病で亡くりたくない思いから、糖尿病を悪化させないように自分なりに食事やアルコールに気をつけている」。一方で、【必要性を強く感じないまま、医師の指示に従い継続する受診】として「COPDによる症状はなく、受診の必要性を感じないが、初診時の症状を思い出し、医師から受診不要と言われないので、受診を継続」しており、更に【釈然としないまま医師の指示を遵守】として、「主治医に対する若干の不信感を抱きながらも、降圧剤や入院などの医師の治療方針に従っている」。一方で、G氏は「COPDに限らず、体調に気を付けていれば、今後も元気でいられる」という【今後の健康への自信】をもち、セルフケアを行っているというものであった。 2事例の個別分析の結果、呼吸状態に変化がないCOPDの病期では、通常の生活が可能であり、COPDに対する意識は低く、糖尿病の血糖コントロールや食事療法に関心が向いていた。分析した2事例は、高齢者で、2つの疾患を意識したセルフケアというよりは、穏やかに生活ができることに主眼を置いたセルフケアをしていた。 また、19人のインタビューからCOPDと糖尿病を持つ患者の治療の経過に伴う援助指針骨格は推定し、図示(仮)できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属施設及び研究協力施設の倫理審査に時間を要し、インタビューが2019年12月までかかった。個別分析を並行していたが、看護質的統合法(NKJ法)の分析に時間がかかり、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、看護質的統合法(NKJ法)により、個別分析の最中であり、2事例終了、2事例は分析途中であり、12事例はこれから分析を行う。 インタビューからCOPDと糖尿病を持つ患者の援助指針の骨格は推定できたが、治療の経過に基づいた援助指針となっており、今後の残りの個別分析と全体分析を経て、患者の生活に沿った援助指針となるように検討することが必要である。 終了した2事例の個別分析について、事例研究として、2020年10月31日に開催される第13回岩手看護学会学術集会に示説発表予定。2021年度には、専門家会議を開催し、援助指針を開発することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者による研究費執行額が少なかった。 2020年3月初旬に研究者会議の予定だったが、新型コロナウイルス流行のため、研究者会議をweb開催としたため、交通費、会議費が発生しなかった。 2020年度は、分析を12月までに終え、2021年2月頃に専門家会議の開催を予定しており、専門家への謝礼、交通費に拠出予定。 また新型コロナウイルスが終息するようであれば、国際学会での発表を行いたい。
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