研究課題/領域番号 |
18K10352
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
渡邉 直美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40736782)
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研究分担者 |
鎌倉 やよい 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, その他 (00177560)
深田 順子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
坂上 貴之 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (90146720)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 食道発声 / 喉頭摘出術 / 患者会 |
研究実績の概要 |
目的:喉頭摘出者の患者会における食道発声訓練の教育の現状(目的1)と課題(目的2)を明らかにし、教育プログラム試案を作成する。 目的1:【方法】発声訓練士2名と食道発声未獲得者4名に対し、食道発声の訓練場面を参加観察及びビデオ撮影を行った。ビデオ画像を再生し、1回の発声教室(1セッション)における発声訓練士の指導行動及び食道発声未獲得者の自発的な発声行動と聴取できた発声数を1分毎にカウントした。【結果】撮影回数28セッション、撮影総時間1578分。発声訓練士の指導行動には、3つの特徴があった。①促進行動、抑制行動、教示行動、対策行動の4つに類型化できた。②食道発声未獲得者が食道発声を全く獲得していない期間は発声行動のたびに賞賛等を行う連続強化スケジュールが行われ、食道発声を獲得するにつれてその間隔を徐々に空ける間欠強化スケジュールへ移行されていた。③発声教室での練習開始直後は、正しいことは褒め、間違いは修正する分化強化が行われていた。また、発声訓練士の指導行動は、食道発声未獲得者の自発的な発声行動数と聴取可能な発声数との差(失敗率)へ影響した。 目的2:【方法】発声訓練士8名、食道発声未獲得者11名、家族6名に半構成面接を行った。【結果】発声訓練士の指導の課題は、「試行錯誤している、具体的な目標が決められない、自分が受けた指導を参考に指導する」であった。食道発声未獲得者は、「簡単に楽しく声が出せる、進歩がみえる、術式別や獲得状況に応じた指導」を求めていた。家族は、「指導方法や教本の内容が古い、発声訓練士自身の教育が必要」を語った。また、本プログラムを作成するにあたり、食道発声時の音生成部位(新声門)と舌の動きを確認する必要性が生じたため、超音波診断装置を用いて確認した。 以上の結果をふまえ、食道発声指導者用の教育プログラム試案を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食道発声訓練の教育の現状と課題を明らかにし、教育プログラム試案の検討段階に入っている。しかし、新型コロナウィルス感染症の蔓延によって患者会の活動が休止されており、再開の目途が立っていない。そのため、教育プログラムの検証が遅れる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
作成した教育プログラム試案について、内容妥当性を確認するため専門家会議を行う。そして、教育プログラム試案を初心グループと初級グループの指導を担当している発声訓練士を対象に渡邉が教育を実施する。教育を受けた発声訓練士の指導場面をビデオ撮影し、指導を受けている食道発声未獲得者の発声行動数及び聴取できた発声数を確認する。 また、指導のフィードバックとして超音波診断装置を用いて食道発声の音形成部(新声門)及び舌の動きを確認する。そして、食道発声訓練の教育の現状をベースライン、教育プログラム導入後を介入期としTau-U検定を行い、教育プログラムの効果を判定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、3月末から患者会の活動が休止されている。活動再開後の調査のために必要な経費を残している。
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