研究課題/領域番号 |
18K10356
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
塩見 理香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (70758987)
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研究分担者 |
田井 雅子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (50381413)
畦地 博子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80264985)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セルフコントロール / 対人関係 / 自閉症スペクトラム |
研究実績の概要 |
本研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)者が実施している対人関係におけるセルフコントロールと自我を支えながら対人関係におけるセルフコントロールを高める看護援助を明らかにし、支援プログラムを作成することである。 2018年度に引きつづき、ASD当事者の対人関係における自我状態や困難感、対人関係を維持・構築するためのセルフコントロールについて、研究協力者の人数を増やし面接調査・分析を実施している。 今回の分析から、「精神障害者という偏見から死を考える」や「自分の弱さから他者への依存が生じる」「他者と関わりたい自分と関りを拒否する自分が存在する」という思いがある反面、「スタッフに支えられて仕事も順調であることに感謝する」ということが明らかになった。また、「周囲に気を使いながら生活をすることで疲弊する」「対処方法が分からない」「どのように話しかけていいのか分からない」「冗談が分からない」「融通が利かず押し問答になる」などの困難感を生じていた。 対人関係を維持・構築していくために「経験が異なるので多様な考えの人がいることを理解する」ことで相手の行動を解釈し、「素直に思ったことを発言」することで「相手が不快に思ったらかかわらない」といった相手の様子をみながら対応していた。しかし、「必要最小限の関わりしかしない」「不快なことは聞き流す」と最初からかかわりを拒否するという行動をおこなっていた。また、「誰もいないところで大声を出す」「仕事から離れると一人で過ごす」ことで気分転換を図り、心身の充電を図っていた。そして、一人で過ごす時間について「自己責任」が生じることを自覚するということが明らかになった。 2020年度は、分析を基に看護師より対人関係を高める看護援助を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ASD当事者から面接調査を実施し、自身の障害を受け入れていく過程での自我の揺れや対人関係を維持・構築していく上での困難感やセルフコントロールなど分析し、次年度の看護師を対象とした面接調査に向けてインタビューガイドの作成を目標としていた。しかし、ASD当事者の面接調査の分析に時間を要し、その段階に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ASD当事者の面接調査の分析を自我機能に焦点をあて、それを基に看護師にセルフコントロールを高める看護支援についてインタビューガイドを作成し、面接調査・分析を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
看護師への面接調査が実施できていないため、旅費やテープ起こしなどの費用を使用していない。次年度は、近畿・関東地方などの精神専門看護師や精神看護認定看護師などを対象に面接調査・分析に必要な経費として使用をする。
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