研究課題/領域番号 |
18K10358
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
石橋 昭子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 講師 (20380777)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 精神科訪問看護 / 休息入院 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、統合失調症の患者に対するレスパイトケアモデルを開発し、その妥当性を検証することである。 2019年度は、2018年度に作成した統合失調症者のレスパイトケアの定義(試案)を見直し、Walker & Avantの概念分析の手法を用いて修正した。また、精神科訪問看護師からみた統合失調症者およびその家族介護者に対するレスパイトケアの活用状況や活用可能性について明らかにすることを目的として横断研究を実施した。調査期間は2019年7月~8月、調査方法は郵送による質問紙調査であった。調査対象は、都道府県訪問看護ステーション連絡協議会のホームページにおいて精神科訪問看護の実施の有無と、連絡先が明記された訪問看護ステーションの訪問看護師469人(回収率10.8%)であった。 結果の概要は、統合失調症者への訪問看護経験有りと回答した訪問看護師は402人(85.7%)、その内レスパイトケアを促した経験が有る訪問看護師は68人(16.9%)で少なかった。一方、レスパイトケア制度の必要性があると回答した訪問看護師は350人(87.1%)であり、その理由として「制度化によるレスパイトケアの活性化」「在宅療養生活の継続に向けた家族の負担軽減」「安心できる地域生活の維持」「状態悪化や症状の安定」「受入施設や病院の確保」「家族との良好な関係を保つ」の6項目が挙げられた。一方でレスパイトケア制度の必要性がない・わからないと回答した訪問看護師は30人(7.5%)であり、その理由は「療養者の適応困難さ」「制度として必要な対象がいない」「対象や期間を広げる必要性がある」「わからない」であった。次年度は、得られた結果を元に精神科レスパイトケアモデル(案)を開発し、受け入れ施設の協力を得て、その妥当性を検証することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は訪問看護師を対象とした統合失調症者に対するレスパイトケアの活用状況及び活用可能性について質問紙調査を実施し、結果を得ることができた。また分析もほぼ終了し、成果が得られたことから、概ね計画通りの進展であると考える。しかし、多職種の研究協力者による研究会を開催することができなかったため、次年度は早急に企画し、今年度の結果の共有及び統合失調症者のレスパイトケアモデル(案)についての検討を行なう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、2019年度に実施した質問紙調査結果を元に、精神科レスパイトケアモデル案を作成する。作成した精神科レスパイトケアモデル案は、研究協力者による検討及び受け入れ施設の協力を得て多職種スタッフ、統合失調症者およびその家族介護者を対象としたパイロットスタディを行ない、その評価を質的・量的に行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が344,100円が生じた理由として、今年度の質問紙調査の回収状況によって作業にかかる費用が超過する恐れが生じた。そのため2019年7月に200,000円の前倒し支払請求を行なった。しかし、結果的に、予算内に収まったため次年度使用額が生じた。さらに今年度は、質問紙調査と分析に時間を要し、多職種による研究会が開催できなかった。次年度の使用計画として、2019年度迄に得られた結果の検討とレスパイトケアモデル案の作成に向けて、研究会を開催する予定である。
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