研究課題/領域番号 |
18K10360
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
寺岡 征太郎 和洋女子大学, 看護学部, 准教授 (30626015)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自殺企図 / 自殺予防ケア |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、自殺企図者へのシームレスな支援体制の整備であり、外来・入院場面で自殺企図者を支援するための連携およびケアスキルの確立を目指している。 2019年度は、自殺企図歴がある患者への看護師の関わり方について質的研究を実施する予定であったが、それに先駆けて、自殺予防ケアに携わる看護師の葛藤をテーマに、フォーカスグループインタビューを実施することにした。対象者は精神科看護経験が豊富な看護管理者(看護師長、主任)とし、彼らがフォーカスグループインタビューで語った内容の逐語録を質的に分析した。その結果、自殺予防において、事故を回避するために過剰な制限を課していると感じること、それらの行動制限に十分に対応できずにいること、患者に真実を伝えられずに葛藤を抱いていることなどが抽出された。また、このような状況を十分に多職種間で話し合うことができないことへの強い葛藤も抽出された。自殺といった深刻な事態を回避するために、より強い制限を加えるといった対応に異議を覚えながらも、仕方がないと半ば諦めている状況が推察された。このような状況が存在すること踏まえたうえで、具体的な対策を講じる必要性があることを確認し、今後の研究計画に追加していくこととした。 今後は、精神科・救急外来・自殺ハイリスク者(がんや難病をもつ患者等)と関わる機会が多い診療科で働く看護師を対象に、量的・質的研究を組み合わせた方法論的トライアンギュレーションにより、地域移行支援における課題の抽出を目的とした調査に取り掛かる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画を一部変更したため、その軌道修正に時間を要した。 また、対象のリクルートを計画的に進めることができない状況があった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、精神科・救急外来・その他の診療科で働く看護師を対象とした半構成的インタビュー調査を実施する。その分析結果をもとに、自殺企図歴がある患者に対する看護支援の全体像および自殺企図者の地域生活を支える際の課題を把握するための量的調査の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた質的、量的調査の実施が遅れたため、調査旅費やデータ収集および分析に係る費用、人件費・謝金などを執行できなかった。 2020年度は、調査および研究成果の公表などのために国内外への出張を予定している。
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