本研究は介護老人保健施設看護管理者を対象としたデルファイ法により日本版バリューズヒストリーを開発することを目的とした。その結果、日本版バリューズヒストリーの構成項目として「安心できる環境」、「大事にしたいこと」、「健康上の問題に対する医師からの説明内容」、「病気や障害を持った時や加齢の影響がある時でも安心していられる環境」、「代わりに判断する人の承諾の有無」、「主治医に対する信頼」、「自分が希望する終末期医療に対する家族の同意」、「意識の回復が望めない場合の延命処置」、「末期疾患になった場合の延命処置に対する希望」、「自分が望む生活」、「人の世話を受けなくてはならなくなった時の希望」、「自分の意思決定の特徴」、「重篤な認知症になった場合の延命処置に対する希望」、「臨終場所の希望」、「医師以外のケアサービスの関わり方の希望」、「自分にとっての家族の意味」、「死に対する考え方」、「自分のコミュニケーションの特徴」、「自分の代わりに終末期医療の判断をしてくれる人の希望」、「代わりに判断を頼みたい具体的な状況」、「自分の介護に必要な資金の心配」、「生きる事に対する幸福感」「死に対する考え方」の22項目が抽出された。 この日本版バリューズヒストリーの使用に関しては、深刻な健康問題が発生する前から考え、価値観は変化することをふまえて定期的に見直し、関係者と共有することが重要であることが確認された。
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