本研究は、がん看護に関わる認定看護師(以下CNと略す)の専門的実践能力やキャリア成熟推進に向けて支援モデルを構築することである。 今年度は、日本のがん診療連携拠点病院のがん看護に関わるCNを対象に、無記名の自記式アンケート郵送調査を行った結果を質的に分析し、わが国におけるがん看護認定看護師の役割の3つの視点から卓越した看護実践の特徴を明らかにし、国際学会に報告した。がん看護に関わるCNは、【生活者としての対象者・家族を全人的にアセスメントし、QOLの向上を目指す】ことや、【エビデンスに基づき安全・安楽を優先し対象者の利益につなげる】ことに努め、【対象者の価値観や考えを尊重して意思決定を支援する】ことを重要視していた。そして、【スタッフとともに対象者に適したケアを推進する】ために、【看護実践を可視化しロールモデルとなり、より質の高いケアを実践できるよう自己研鑽する】ことや【看護チームの連携および多職種と協働する】という看護実践の特徴が明らかになった。 がん看護に関わるCNは、CNである自己を意識しつつ、他の看護師と共に対象者に適したケアを行い、教育的な視点からの指導や相談者を中心としたコンサルテーションを行っていた。そして、がんという疾病を持つ対象者の安全・安楽を優先し、その価値観や考え方を尊重し、対象者の利益につなげられるよう意思決定を支援していた。さらに、CNとしてのスタンスや立場を明確にし、組織に溶け込み、看護実践を可視化し、ロールモデルとなり質の高いケアを実践できるよう努めていた。また、多職種との連携により、スペシャリストとして組織横断的にチーム医療をコーディネートする卓越した看護実践が示唆された。
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