研究課題/領域番号 |
18K10368
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
深沢 裕子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (00530437)
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研究分担者 |
長山 豊 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (10636062)
田中 浩二 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (40507373)
新井 里美 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (90802413)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 再燃予防 / セルフモニタリング / 過覚醒状態 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳が過覚醒状態および疲労状態にあることを、統合失調症患者がセルフモニタリングする技術を開発することである。同時に、そのセルフモニタリングをサポートする技術を開発することである。この技術を適用することにより統合失調症の再燃を予防できる可能性がある。 令和元年度、先行研究で得られている知見をもとにさらに検討したところ、統合失調症患者は、交感神経が興奮した時、疲労して離人感が生じた時に、身体に起きたその変化の意味付けを誤るために、過覚醒状態が亢進し妄想状態に繋がっていくということが起きているという仮説を立てるに至った。そのため、前年度に作成した心理教育を含む患者用パンフレットおよび面接マニュアルを再編集した。患者用パンフレットは、「出来事と人の反応」・「からだに生じる違和感について」・「人の情報処理の特徴」・「からだに生じる違和感を観察してみよう」・「自分らしさをみつけよう」等から構成された。また、面接マニュアルは「信頼関係をつくる」「パートナーシップをつくる」等から構成された。 研究対象者(外来通院患者)と継続的に面接を行い、身体状態・精神状態の前回受診時から現在までの変化を共に振り返るという調査を行う予定であったが、研究対象者との定期的面接の時間を確保することができなかった。教育業務・大学運営業務の関係で、研究対象者の外来受診日に合わせて研究代表者ならびに研究分担者が面接時間を確保することが困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心理教育パンフレットおよび面接マニュアルを改編する作業を行ったこと、研究対象者の外来受診日にあわせて面接時間を確保することが困難であったことから、研究計画がやや遅れている。令和2年度は、年間の業務全般を調整し、研究対象者との継続的面接を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
精神科医師に対して、調査可能日程に来院する選定基準に合致する研究対象者(外来通院患者)を、選定してもらえるよう依頼する。研究対象者と継続的に面接を行い、身体状態・精神状態の前回受診時から現在までの変化を共に振り返り、その変化の要因について心理教育パンフレットも活用しながら話し合う。研究対象者(患者)と共に、振り返りのしやすい方法を考案する。振り返りの録音から逐語録を作成する。逐語録と振り返りに用いた記録から、過覚醒状態と考えられる身体状態・精神状態についての<研究対象者(患者)の知覚内容>と<研究者の客観的な観察データ>を<ストレッサー>とあわせて経時的に分析する。過覚醒状態を鎮める工夫がなされている場合は、その方法と効果も抽出する。調査・分析を継続しながら、並行してさらに、セルフモニタリング機能の障害が中等度以上である患者への適用方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初平成30年度・令和元年度に予定していた調査を行えなかったため、研究協力依頼に対する謝礼品、逐語録作成委託費は令和元年度使用しなかった。令和2年度、研究対象者(患者)への協力依頼謝礼品、逐語録作成委託費、分析用パソコンおよび必要ソフト、ディスプレイ、複写費、事務用品、先行研究に関する書籍および文献複写費の購入が必要である。
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