研究課題/領域番号 |
18K10375
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
新村 順子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (90360700)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | mental health nursing / acute psychiatric unit / coercive practice / trauma informed care / organizational culture |
研究実績の概要 |
前年度実施した、精神科病院の看護職等を対象とした、Trauma-informed care(TIC)研修プログラム(1日)の開発とその効果評価に関しては、英論文を作成し、看護系国際誌にアクセプトされた(Niimura et al,(2019) Int J Ment Health Nurs 28)。 今年度は,①隔離拘束に先進的に取り組んでいる欧州の視察、②精神科領域の専門職に向けた日本国内におけるTICおよびリカバリー志向のケアの普及。③研究コアチームの拡充を主な目的に研究を実施した。 ①欧州の視察については、2019年9月にイタリアで開催された第5回European Conference on Integrated Care and Assertive Outreachの聴講、「地域に根差した精神保健サービス提供者の欧州ネットワーク(EUCOMS)」会議に参加を通して実施した。Conferenceおよび会議からは、欧州において、精神科ケアは、当事者のリカバリーの実現を基盤に、隔離拘束の予防に対してもTICが積極的に取り入れられていること、また組織の変革を促進するために、組織指導者を含んだ各国・組織(病院・施設)の相互交流のシステムが構築されており、今後のTICの普及の方向性の検討においていくつかの示唆を得た。 ②①より、日本でのリカバリー志向のケアを基盤としたTICの普及の必要性を認識し、2020年1月に、UKでのリカバリーケアの推進者である Prof.Geoff Shepherdを招聘し、国内の精神科看護師をはじめとした専門職、当事者、研究者を対象にセミナーを実施し、参加者約50名を得た。 ③②のセミナー参加者に呼びかけ、研究コアチームの拡充を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
User Researcherのリクルートがなかなか進まず、進行が遅れている。今年度実施したリカバリーとTICについてのセミナー参加者から、リクルートを実施し、コアチームに参加してもらう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究コアチームを拡充し、精神科領域でのリカバリーケア、TICの実装に必須である、サービスユーザーとのコ・プロダクションについての理解を深める。このプロセスを通して、サービスユーザーとの相互理解・交流を深め、サービスユーザーを含めた研究コアチームを構築する予定である。その上で、隔離拘束プログラムを先駆的に実践している組織の組織管理者に向けてのインタビューガイドの作成、インタビューの実施を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケートおよびインタビュー調査が未実施のため、調査費用および謝金等で未使用が発生している。次年度実施に向けて準備を進める。
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