研究課題/領域番号 |
18K10388
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研究機関 | 湘南鎌倉医療大学 |
研究代表者 |
野中 淳子 湘南鎌倉医療大学, 看護学部, 教授 (00279796)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小児がん / 在宅移行 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
1985年~2017年における日本における小児がんの親の意思決定に関する20件の先行研究から、小児がんを対象とした研究内容としては、①治療内容の選択、②子どもへの病名告知、③治療困難な状況における家族の困難と医療者の支援、④終末期の在宅療養への移行の4テーマを抽出し文献検討から示唆を得て、親からの聞き取り調査で合計5件を終えた。日本小児看護学会第30回学術集会(2020年9月19日~20)において、「治療が困難な状況にある小児がんの在宅療養に向けた親の意思決定プロセス」を学会発表した。事例4ケースをまとめて発表した。在宅療養に向けた親の意思決定では、親は子どもに残された時間の中で、「家に帰りたい」子どもの意思を尊重して、単に療養の場として自宅を選択するのではなく、これまでと同じ普通の生活を守るために最善を模索した意思決定をしていた。さらに、国際小児がん学会発表及び、2019年10月~22日ベルギーのゲント大学病院とプリンセス・エリザベス小児病院において、小児がん看護研修を行ったものを報告書としてまとめ、小児がん看護Vol.15(1)2020に投稿した。その内容で特徴的なことは、特に終末期ケアにおいて、日本も諸外国も同様に子どもは「家で最期を過ごしたい」という思いは強いよいだ。パリアティブケアでは、病院か自宅かどちらで過ごすかの選択は子どもと親に任されているが、95%は自宅を選択しいるという(残り5%は疼痛コントロールが難しいケース)。この場合は、病院がホームドクターに連絡し在宅療養が可能か評価を行い看護師がサポートを行うという。多くの子どもを自宅に返し見送ってきたが、親から語られることは子どもへの感謝の気持ちと楽しかった思い出が多いという。小児がんで子どもを亡くす親は、後悔や悔いが悲嘆を長引かすので、少しでも後悔の少ない選択ができる支援が望まれることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症により緊急事態宣言が2回あり、現在も油断できない現状がある。その中で思うようにデータがとれないこと、もともと対象データは少ないこともあり、目標数には届かない状況があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、医療施設において、小児がん看護及び小児がん医療を行った医療者で、小児がんの子どもの在宅移行の経験者からのインタビュー調査を予定しており、研究計画書を作成し大学及び医療施設への研究倫理委員会に申請し、承認されれば調査を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
医療者を対象とした調査研究を行う予定である。そのための調査経費が必要となる。
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