1985年~2017年における日本における小児がんの親の意思決定に関する20件の先行研究から、小児がんを対象とした研究内容としては、①治療内容の選択、②子どもへの病名告知、③治療困難な状況における家族の困難と医療者の支援、④終末期の在宅療養への移行の4テーマを抽出し文献検討から示唆を得た。次に在宅移行を行った5名の親からの聞き取り調査を行った。在宅療養に向けた親の意思決定では、親は子どもに残された時間の中で、「家に帰りたい」子ども意思を尊重して、単に療養の場として自宅を選択するのではなく、これまでと同じ普通の生活を守るために最善を模索した意思決定をしていた。小児看護歴5年以上で治療困難な小児がんの子どもの在宅移行を行った経験のある看護師5名を対象に、小児がんの子どもと家族への在宅移行における意思決定支援についてインタビューガイドを用いた半構造化面接を実施。その結果、『子どもと家族の意向のズレがジレンマとなる』『子どもにとっての最善を考えサポートする』『後悔を最小限にするため親の決定は尊重する』『家族が決断したことが正解となる』『家族の揺れを確認しながらサポートしていく』『家族が少し楽になるよう逃げ道を作る』『親の代理意思決定は難しいから子ども主体を意識する』『最初(発病)の子どもへ説明が後に影響する』『親は一度決断しても揺らぐその揺らぎに添う』の9カテゴリーが生成された。子どもの意思と親の意思が必ずしも一致していない場合は、看護師はジレンマを感じていた。しかし意思決定には時間的な制約があり、手術や治療の変更、症状コントロール等、在宅移行へのタイミングは短時間で意思決定することを余儀なくされる。小児がんの子どもと親の在宅移行への意思決定は、親が代理意思決定するため、看護師は親の心理的負担を考慮し、常に揺らぎに添いながら親の意思決定を促す支援を目指していた。
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