研究課題
最終年度においては、家族がストレス源(わが子の小児がんの発病・闘病)にどのような「家族力」でストレスに対処していくのか、その「家族力」を見出して支援モデルを作成することが目的であった。乳幼児期に発症した小児がん患児の療養を支える家族力について、これまでの研究では、父親と母親を対象として患児の療養を支えていく行動のプロセスをM-GTA研究法を用いて明らかにしてきた。そして、その支援モデルの作成においては、オルソンの夫婦・家族システム円環モデルの概念を用いて検討することを考えていた。これまでの研究では、ストレス対応に関わる要素である夫婦・家族システムの資源としての「家族凝集性」は、医師・看護師・祖父母・きょうだい達との相互作用により、ストレス源への認識と行動の変容が生じ、家族が凝集しているという成果が得られた。「家族適応力」に係る研究成果について検討した。患児の療養を支えていく際、母親が、成長・発達している患児を認識し、闘病するわが子の<普通の子どもらしさに気づく>という概念と、【「普通」の基準をつくらない】というカテゴリーに着眼した。母親がわが子を病気の子ではなく普通の子として認識するという認識の変容を、「家族適応力」としてよいかを判断するために、再度データに戻り母親がわが子への関りが変容するプロセスの概念名を再検討した。このことから、ストレス源であるわが子の闘病に対する「家族の適応力」として、母親がわが子の成長・発達に気づくことにより闘病するという非日常を受け入れていくこと、また、それに関与するのは、医師・看護師・ママ友との相互作用であることが見出された。この「家族適応力」については、十分な成果ではないため、今後もさらなる研究が必要である。