研究課題/領域番号 |
18K10396
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
網野 裕子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (00405482)
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研究分担者 |
沖本 克子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20309652)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | AD/HD / 注意欠如/多動症 / 母親 / 乳幼児 / 育児困難 / 育児支援 |
研究実績の概要 |
1.研究の背景:日本では2005年には発達障害者支援法が施行され、2016年に同法の一部が改正された。これらにより、子どもの発達障害に関する理解や認識が広がり、発達障害児とその家族への支援体制は急速に整えられている。しかし、発達障害のひとつである注意欠如・多動症(以下、AD/HD)をもつ成人は、AD/HDを周囲に気づかれずに過ごしている方が多い。近年、欧米においてはAD/HDをもつ親の育児に関する研究が蓄積されてきており、親のADHD症状は、否定的な行動をした子どもを強く責める、子どもとのかかわりが少ない、といった育児と関連していることが明らかになっている。しかし、日本においてはAD/HD傾向をもつ親の育児に関する研究が進んでいない。 2.研究の目的:乳幼児をもつ親のAD/HD傾向と育児困難・育児支援の関連性を検証することを目的とする。 3.研究方法 幼稚園・保育所等に通う0~6歳の子どもの親710名を対象とし、無記名自記式質問紙調査を行った。協力承諾が得られた幼稚園・保育所等にて、職員を介して説明書及びアンケートを配布し、郵送法にて回収した。アンケート用紙の返送をもって、研究の同意が得られたとみなした。調査内容は、育児中の母親の特性(基本属性、AD/HD特性尺度、愛着-養育バランス尺度)、育児困難(育児感情尺度)、支援(育児ソーシャル・サポート尺度)とした。 4.結果:710名に配布し、352名より回収があった(回収率49.6%)。結果は、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に計画していたAD/HD特性をもち育児を行っている母親に対するインタビュー調査は、該当者への依頼が難しく、今のところインタビュー終了は2人のみとなっている。しかし、2019年度に計画していた、乳幼児をもつ親のAD/HD傾向と育児困難・育児支援の関連性を検証することを目的としたアンケート調査を前倒しで行い、現在分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に行ったアンケート調査では、子どものAD/HD症状を考慮していなかった。AD/HDは遺伝確率が高いとの報告がある。今後、AD/HDと診断された子どもの親に対しても、同様のアンケート調査を行い、AD/HD傾向のある親とAD/HDの子ども、AD/HD傾向のない親とAD/HDの子どもの間で、育児困難・育児支援に差があるかを調査する予定である。また、アンケート回答者に対し、インタビュー可能な対象者がいればインタビューを行い、育児困難や育児支援ニーズを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していた、AD/HD特性をもち育児を行っている母親に対するインタビュー調査が計画していた通りにできず、2019年度に予定していた幼稚園・保育所等に通う0~6歳の子どもの親への質問紙調査を前倒しで行ったため、次年度使用額が生じた。2019年度はAD/HDと診断された子どもの親に対して質問紙調査を行う予定であり、依頼・郵送費が発生する予定である。またインタビューも継続して行うため、交通費・謝礼金が発生する予定である。
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