研究課題/領域番号 |
18K10397
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
丹 佳子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (70326445)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 養護教諭 / 保健室 / 緊急度・重症度判断 / 臨床推論 / 論理的思考力 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究では、養護教諭の「論理的思考力の不足」と「振り返りが難しい環境」に着目し、保健室における緊急度・重症度判断における養護教諭の困難感を軽減し自信を高めるためのVR映像を用いた新たな教育プログラムを開発することを目的としている。 令和元年度は、養護教諭の学校救急処置における思考プロセスの類型化を学会誌に投稿し,学校現場で緊急度・重症度判断を行う「医療職ではない養護教諭」ならではの思考プロセスの実態と特徴をこれまでの研究成果として発表した。教育プログラムの作成については、平成30年度に作成したシナリオを用いてVR映像を撮影し教育プログラムを試作し、学生5名に対して試行し改善点を明確にした。また、VR教材の特徴を明らかにするために、紙上事例との比較を行った。 VR映像の作成においては平成30年度に作成した4事例の中から2事例(「腹痛」、「失神」)のシナリオを用いた。撮影は学生の協力を得て、養護教諭役、生徒役、学級担任役を演じてもらい、A大学の保健室・教室にて養護教諭の視点でRICOH THETA Vを用いて360度動画を撮影した。作成した2事例のVR事例および紙上事例に基づいて教育プログラム案を作成した。課題および効果を明確にするための事前・事後調査の質問項目は「学習意欲」「緊急度・重症度判断に対する興味」「リアリティ」「緊張感」「没入感」「子どもへの共感度」等15項目を設定した。それぞれの項目に対して主観的に10点満点で評価をしてもらった。また、自由記述では「今回のセッションで学んだこと」「2つの教材を体験して感じたこと(VR事例・紙上事例)」「大学の授業でのVR活用希望」などについて記述してもらった。15項目の評価得点および自由記述をもとに改善の視点を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育プログラムを試作・試行し改善点は明確になったが、教育プログラムの改善に時間がかかっている。また、年度末に養護教諭や学生対象に改善プログラムを用いて研修を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため集合教育を行うことができなかった。今後、Web研修など遠隔でも実施可能な教育プログラムを検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
①2019年度に試行し明らかになった課題をふまえて教育プログラムの改善を行う。ただし2020年度は集合教育が難しくなることが想定されるため、遠隔講義・研修を検討する。 ②教育プログラムの評価指標の検討を行う。 ③完成した教育プログラムの有用性の検証を行うため、研修受講者を募集する。 ④希望者に対して複数回の教育プログラムを実施し評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、2019年度中に改善した教育プログラムを実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から集合教育を行わなかった。そのため、使用機材、参加者謝金、会場借り上げ料、交通費、チラシ印刷、再生機器などを購入ができず、次年度使用額が発生した。今後はWeb研修など遠隔でも実施可能な教育プログラムを再検討するため、参加者募集チラシ、郵送費用、参加者謝金のみならず、遠隔講義に必要なWeb会議システム使用料、Webカメラ、マイク、スピーカー、タブレット購入のために助成金を使用する予定である。
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