研究課題/領域番号 |
18K10399
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
和氣 久美子 (木戸久美子) 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (40269080)
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研究分担者 |
三谷 明美 山口県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60382389)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 夫婦関係 / 男性の育児 / 産後うつ / paternal depression / 発達特性 |
研究実績の概要 |
今年度は、中国地方の産科施設を利用した女性の夫(パートナー)である男性を対象として、子育ての様子とこころの健康状態について半構造化面接を実施した。研究協力の得られた中国地方の産科を併設した総合病院に通う妊婦を通じて、その夫に研究協力を依頼し、産後の任意の時期にインタビューすることを依頼した。本研究に承諾の得られた男性9人に半構造化面接を実施した。こころの健康状態を評価する指標として、エジンバラ産後うつ病質問紙(EPDS)、Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)の2つ尺度を用いた。分析方法は、収集した音声データから逐語禄を作成し、Line by lineでオープンコーディングを行ったのち、類似するものをまとめてカテゴリーに分類した。対象となった男性のEPDSの平均点は1(0-2)点、PHQ-9の平均点は2.7(0-9)点だった。初めての育児を行っている父親が5人だった。子どもの月齢平均は8.2か月(4か月-16か月)だった。男性の育児の様子として、「妻との良好なコミュニケーションは育児促進剤」「眠れない/疲れる産後早々の育児」「時間の経過とともに両立できる仕事と育児」「妊娠中に教わりたかった育児方法」「自分に何ができるのか?と考えを巡らす」「他者に子育てを相談することの難しさ」の6つのカテゴリーを抽出した。対象者の多くは、子育てが始まったばかりのころには戸惑いを感じ、仕事とのバランスのとり方などに苦慮し、精神的にも落ち込むような状況がみられていたものの、妻(パートナー)との関係が良好であることで、ともに相談しながら育児を模索し、現在のスタイルが構築された様子がうかがえた。本研究では、抑うつ傾向を示した男性からの研究協力が少ないうえに、発達特性をうかがえるエピソードについての語りも得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産後うつ病という視点で、インタビューに協力する意思をもつ男性(父親)が少なく、データ収集に苦慮している。また、インタビューに協力の得られた男性のうち抑うつ傾向を示した事例がわずかで、その事例から発達特性をうかがえるエピソードについても語られなかった。発達特性を踏まえ父親の産後うつ病予防プログラムを提案するという目的が達成できていないため、データ収集の方法を再検討し、あと1年研究期間を延長し、当初の目的を達成させたい。
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今後の研究の推進方策 |
予想外に産後うつ病という視点でインタビューに応じる男性(父親)が少なく、今後対象事例が増える可能性もあまりないため、発達特性と男性の産後うつというキーワードで国外の研究成果をメタ分析し、これまでの研究成果と統合することで、発達特性を踏まえた父親の産後うつ病予防プログラムの提案を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想した以上に研究対象者が少なかったこと、インタビューがWeb上で実施されたことによる旅費等の経費がかからなかったこと、また、学会発表がすべてWeb上で行われたことによる旅費の支出がなかったこと、投稿した雑誌の掲載料などが安価であったことが理由である。研究期間を1年延長し、国外の文献収集、その研究成果のメタ分析を行うために分析用ソフトの新規申請(文字起こし)と更新を行う。国内における学会で、本研究成果の発表を行う旅費を支出する。
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