研究課題/領域番号 |
18K10402
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
島袋 香子 北里大学, 看護学部, 教授 (70206184)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 母親役割 / 対処 / 自己像の形成 |
研究実績の概要 |
本研究の特色は、女性の母親となる精神的適応過程は、母親となる自己を構成する過程であると捉え、これまで明らかにされていない適応過程における対処(自己調整)に焦点を当て、妊娠期における母親の対処特性と自己の再構成の状況を明らかにし、産褥期で浮き彫りになると思われる「母親となる自己像の形成状態」との関連を検討している点である。近年、実母による虐待や子を愛せない母親の問題が注目されており、この問題への看護アプローチへの貢献を目標としている。 「母親となる自己の再構成」を指標に、妊娠後期から産褥期における心理的対処と影響要因との関連を明らかにする事を目的に、ローリスク初産婦30名を対象に縦断的調査を行なう。3つの測定尺度(Stress Coping Inventory,Japanese Prenatal Self-Evaluation Question- naire,対児感情評定尺度)による質問紙調査1回と面接調査(妊娠後期2回、産褥2週間、産褥1ヶ月)を行なう。面接データは質的記述的に分析し、妊娠期の心理的対処状況と産褥期の対処状況との関連、影響要因の関連を分析する。3つの測定尺度は分析の解釈に用いる。 現在収集途中であるが、妊娠期の分析から、時代的背景の特徴として、直接的会話による先輩母親の体験談による情報よりもインターネット情報を頼りにしている傾向があり、「周囲と関わるのが恥ずかしい」「自分で調べて努力する」「自分で解決する」との回答が、これまで研究者が行なってきた先行研究と異なる特徴として確認されている。また、You Tube等から映像情報を頼りにしており、映像情報が母親役割獲得過程にどのように影響するのか分析する必要性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
面接調査を妊娠期と産褥期で計画したが、妊娠期の面接調査のみで止まったデータが数多くある。新型コロナウイルス感染症の流行から調査施設におけるデータ収集は中止しており、再開の目処は立っていない。調査の再開は、今後の状況を確認し、検討する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の新型コロナ感染症の流行や調査施設の方針等の動向を確認しながら、データ収集方法を再検討していく予定である。今回の調査において、急激にインターネット情報の活用が進められている現状が浮かび上がった。インターネットにおける体験談の書込みだけでなく、You Tube等の視覚情報が、母親役割獲得過程に対する影響要因として大きく関わることが推測され、母親となる自己像の形成との関連について、新たな視点での分析を行なう。そのための文献検討を追加し、検討を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行から調査が止まっている。今後調査が開始されデータ収集が進む事を考え、質的データ分析に用いるソフトを購入し、分析を進める予定である。
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