母親となる女性の心理的準備を支援する看護を検討するために、母親となる自己像の再構成に対する対処を明らかにする目的で本研究を行った。研究対象は妊娠後期(32週以降)に研究協力への同意が得られ、質問紙へ回答し、産褥期(産褥3~4日)に面接調査に応じた褥婦23名である。研究方法は3つの測定尺度①J-PSEQ: Japanese Self Evaluation Questionnaire(点数が高いほど適応が良いに設定)、②対児感情評定尺度、③SCI: Stress Coping Inventoryを記載し、産褥期に30分~60分の面接調査を行った。面接データは、質的記述的手法に基づき分析した。調査施設の研究倫理審査を経て実施した。 結果:対象者の平均年齢は36.8歳、有職者7名であった。J-PSEQの母親役割の同一化と各測定尺度の相関は、J-PSEQの妊娠の受容(r=0.36)、対児感情評定尺度の接近感(r=0.24)、SCIの責任受容型(r=0.24とコントール型(r=0.24)で、弱い相関がみられ、J-PSEQの夫との関係(r=-0.3)と弱い負の相関がみられた。母親役割の同一化に関する面接データの分析では「自分が母親であることに適応する」「子どもに対処できるようになっていることが実感できるようになる」「自分で判断して良いことを学ぶ」など、母親役割に適応していく様子が抽出された。同時に、「夫との関係変化を悲しむ」「自分らしく過ごすために実母と適当な距離を望む」等、これまでの自分を担保する上での悲嘆感情も示されており、今後各測定尺度との関連を分析していく予定である。
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