研究課題/領域番号 |
18K10407
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
成 順月 岐阜医療科学大学, 看護学部, 教授 (00555055)
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研究分担者 |
薬袋 淳子 岐阜医療科学大学, 看護学部, 教授 (10445124)
原 ひろみ 岐阜医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90461318)
松浦 美由 岐阜医療科学大学, 看護学部, 助教 (30708938)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 月経前症候群 / 思春期 / 教育プログラム / 介入 |
研究実績の概要 |
本研究は思春期女子を対象に、月経前症候群(PMS)の症状軽減に向けた教育的介入を行い、その有効性を調べることを目的とした。2019年度に、研究協力への同意が得られた高等学校の1年生と2年生の女子生徒を対象に、ベースライン時調査を行い、PMSの症状が一つ以上ある生徒を教育群と対照群に分け、教育群にはPMSに関する講義を行い、3ヵ月後にはPMSに関するパンフレッドを配布することで、PMSについての理解を深める介入を行った。対照群には通常の保健体育で行っている講義のみとした。ベースライン時調査から6ヵ月後に第2回目の調査を行った。 2020年度は得られた2時点データを分析し、対象学校に報告した。分析結果では、予想に反して、PMSの症状軽減に向けた教育介入を受けた群が、受けなかった対照群よりPMSの症状出現頻度が高く、教育を受ける前よりも高くなっていた。そのため、今回用いた教育プログラムの有効性は検証できなかった。しかし、PMSの症状について「知っている」と答えたものの割合が、教育群で対照群より有意に高く、「知っている」群でPMSの症状出現頻度が高かった本研究の結果から、教育を受けた群はPMSについての知識が高くなったため、PMSの症状を認知しやすくなり、それが症状出現頻度を高めたことが推測される。また、教育群に対しては、PMSダイアリーを配布し、月経がはじまる2週間前から精神的・身体的症状を観察し、チェックするようにしていたため、対照群より症状に気づく生徒が多くなった可能性がある。PMSの症状軽減に向けた教育プログラムの有効性を調べる場合は、その前にまずは生徒自身がPMSの症状を認知できるような教育を行うことが重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス感染症の流行に伴い、本務の教育形式が大きく変わってしまい、遠隔講義資料の作成などで計画していたスケジュール通りに研究が進まなかった。また、予想外の研究結果から、教育プログラムの改善が必要になったため、プログラムの検討に着手したためである。
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今後の研究の推進方策 |
今回のベースライン時調査で、PMSについて「知っている」と回答した割合は、両群とも1割未満で、殆どが知らないことが明らかになった。一方、第2回目の調査では、「知っている」と回答した割合が、教育群では53.4%で対照群では11.3%より有意に高かった。 また、第2回目調査時のPMS症状について「知っている」と回答した群は、精神症状と身体症状ともに出現頻度が高かく、特に身体症状では第2回目調査時に出現頻度が有意に高くなっていた。このように結果は、PMS の有無の判断や症状の出現状況を正確に把握し、セルフケアや治療をつなげていくためには、日々月経随伴症状の即時記録の継続や観察が不可欠であることを示唆している。 そこで、今年度は日々の月経随伴症状をスマートフォンで簡単に記録し、経時的に観察することでPMSの出現時期と出現頻度及び反復性を確認できるアプリケーションを開発する。そして、このアプリケーションが女子高校生のPMSセルフケアに有用であるかを検証する。 8月までアプリケーションの設計、構築を行う。協力対象を得る。9月から構築したアプリケーションの始動を行い、実際に対象に利用し、データを収集し、効果を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度と2020年度に国内外の学会で研究成果を発表する予定だったが、コロナウイルス感染症の影響で、出張ができなくなり旅費や学会参加費を含めた支出がなくなったためである。今後はこの費用をPMSのセルフチェックアプリケーションの開発とインターネットブラウザを用いて閲覧できるシステムの構築に当てる。
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