研究実績の概要 |
妊婦健診を受診した妊婦493名(18~44 歳,初産婦232名,経産婦261名,妊娠5~40週)を対象に筋肉量・筋力・身体機能を測定し,その関連要因を検討した。 自記式質問紙にて属性と身体活動状況を尋ね,InBody270 を用いた下肢筋肉量測定,筋力は握力計(T.K.K5401)による計測,身体機能は 2 ステップテストから評価した。 結果,対象者の握力 25.17±4.64 ㎏,2ステップ値 1.24±0.14,下肢筋肉量11.54±1.68 ㎏であり,20~40 歳代女性の平均より低く,SMI5.7㎏/m2未満は27.4%を占め,67.3%がロコモ度1~3に該当した。下肢筋肉量と握力には相関があり(r=.527),妊娠32週以降では推奨体重増加者の方が下肢筋肉量は多かった(p<.05)。2ステップ値は妊娠後期の方が(共にp<.01),下肢筋肉量は生活活動量が多い者や非妊時の BMIが高い方が多かった(p<.01,.05)。特に,初産婦において,妊娠後期の方が,非妊時運動習慣を有する者の方が,年齢(24 歳以上)では,下肢筋肉量は有意に多く(順にp<.05,.01,.01),年齢(24歳以上)では,握力が有意に高かった(p <.01)。 下肢筋肉量の影響要因として,妊娠週数,年齢,生活活動量,非妊時運動習慣,非妊時 BMI,体重増加量を検討したところ,初産婦は非妊時 BMI,年齢,体重増加量,非妊時運動習慣が影響し(β=.358,.219,.205,.119,順に p <.01,.01,.05,.05),寄与率は 25.1%,経産婦は体重増加量,非妊時 BMI,生活活動量が影響し(β=.308,.262,.169,全てp<.01),寄与率は 16.6%であった。 非妊時の体格別の推奨体重増加量の基準を目安に体重管理を行うことは下肢筋肉量の増大に有効と考える。
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