定型発達児の場合、母親からみた子どもへの愛着(マターナルアタッチメント)には子どもの特性、母親の精神的健康度、受けているソーシャルサポートの程度など、多数の要因が関与していることが明らかにされている。本研究の目的は、マターナルアタッチメントの関連要因として子どもの行動特徴に焦点を当て、ADHD(注意欠如多動症)児の母親のマターナルアタッチメントと子どもの行動特徴との関連を明らかにすることである。
コロナ禍のため予定通り被検者募集ができず、必要最低限のデータ数がそろった2023年度で質問紙の回収を一旦終了した。回収した質問紙の記入内容を点検し、回答の誤りや不備を確認して有効票を確定しデータ分析を行った。結果は、子どもの行動特徴(ADHD、ODD(反抗挑戦症)、CD(素行障害))を測定する全ての質問紙において、ADHD群の方が定型発達群より有意に得点が高く、子どもの行動特徴が顕著であることが示された。マターナルアタッチメントの3因子は、定型発達群の方が有意に高かった。行動特徴とマターナルアタッチメントとの関連については、ADHD群の場合、ADHDの行動特徴のなかでも不注意がマターナルアタッチメントと有意な相関を認めた。多動/衝動性に関しては、ADHD群、定型発達群ともにマターナルアタッチメントと有意な関連を認めなかった。CDに関しては、2群ともマターナルアタッチメントと有意な関連を認めた。これらの結果を考察して、まとめているところである。
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