研究課題/領域番号 |
18K10413
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
田村 康子 神戸女子大学, 看護学部, 准教授 (80326305)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モロッコ / 産痛緩和ケア / 助産師 / 助産師基礎教育 / 実践コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、産痛緩和に関する助産師の実践コミュニティ形成を基盤としながら、産痛緩和ケア実践能力養成に関する基礎的助産師教育における教育モデル開発を行うことである。 2018年度のモロッコ訪問にて、助産師基礎教育に携わる教員や助産師学生、現地の保健省の母子保健関係者(地域における助産師学生が実習する産科施設の管轄)と意見交換や研究協力への意思の確認を行った。これらから、現地の産痛緩和教育に関して、助産師基礎教育に携わる教員や助産師学生は関心を持っているが具体的な教育方法や実践方法が分からないという現場のニーズを確認した。このことを踏まえ、2019年度は産痛緩和ケアに関する概念や方法、本研究の中心概念となるコミュニティ・オブ・プラクティスの概念について、助産師基礎教育関係者と共通理解をするための準備を開始した。具体的には、これらの概念を説明する資料の作成を行っている段階である。現地の教育カリキュラムを基に、対象とする学年や授業に関する検討も実施したが、入学生の制限などの現地での保健省の方針などもあり、助産師教員との合意には至っていない。新型コロナウイルス感染症の影響から、研究計画について修正が必要であるが、本研究は参加型手法を用いていることから、これらの修正についても研究対象者である現地の助産師教員と遠隔通信技術などでコミュニケーションをとりながら共に修正を検討する予定である。また、教育モデルを評価する指標やモデル開発に関係する文献検討も行っている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学での教育活動業務量の増加により、本研究に取り組む時間の確保に困難な状況が生じた。かつ、コロナ感染症の流行による大学の行事や予定の変更などの対処に要する時間が増加したこと、モロッコ側の関係者も教育関係や保健医療関係者が多く、時間の確保が双方に難しい状況が発生し、研究活動に支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ズームやメールなどの遠隔通信手段を最大限活用し、2019年度から20年度初頭にかけての研究の遅れへの対処を行う予定である。2019年度に神戸女子大学の人間を対象とする研究倫理委員会での承認やモロッコ国保健省における研究申請をすすめる予定であったが、新型コロナ感染症の世界的流行による渡航制限から、これまでに計画した内容を見直し、研究方法を工夫する必要がある。具体的には、2019年度に作成した資料をフランス語に修正し、ズームなどの遠隔通信技術を活用した会議などのコミュニケーションを行う。このことにより、本研究の対象者でもある現地の助産師教員とともに研究計画の修正を行う。また、産痛緩和ケアやコミュニティ・オブ・プラクティスの概念の共通理解、モロッコの助産師対象の教育プログラム(開発済)を用いて助産師教員や実習施設の助産師が産痛緩和ケアを実践できるよう遠隔での研修を実施、モロッコの助産師教員向けガイドライン(開発済)を参考に教員が具体的に用いることができる産痛緩和ケア教育用資料の作成を現地教員と共同して作成する。モロッコの助産師学生入学状況を確認し、対象とする助産師学生への具体的な教育方法についての検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の教育活動に関する業務量が増加し研究時間の確保が困難だったことと新型コロナ感染症の流行とその対応で、モロッコの研究対象者自身も時間的余裕がなく、研究活動をすすめることが中々出来なかった。渡航が困難な状況が継続する可能性があるため、今年度は、ズームなどの遠隔通信技術を積極的に活用し、現地の助産師教員とコミュニケーションを密にとり、研究計画修正を共に検討し、研究実施をすすめていく。これまでに作成した産痛緩和ケアの資料やコミュニティ・オブ・プラクティスの資料についてフランス語に翻訳し活用する。
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